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守護神・大勢につなぐ“8回の男”平内龍太がカギを握る? 巨人・原監督の我慢強い起用の裏にある“勝利の方程式”への道筋
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama/Naoya Sanuki
posted2022/08/29 11:02
セットアッパー平内龍太(左)→クローザー大勢(右)への”勝利の方程式”を確立できるか
平内が初めてセットアッパーとして起用されたのが6月22日のDeNA戦だった。この試合では1点リードの8回にマウンドに上がると4番の牧秀悟内野手から始まる打線を3人で片づけてホールドをマークして大勢へと繋いだ。
その後は8月12日の広島戦前まで12試合に登板し、7回に投げた1試合を除いて他の11試合は全て8回以降にマウンドに上がっている。その間に5ホールドをマークしたが、同時にリリーフの失敗も3度あって、2つの黒星を記録している。単純にいえば4回に1回は失敗だ。決して絶対的なセットアッパーではなかった。その失敗のイメージが強いこともあって、8月12日のチームの今後を占う大事な試合の8回に平内がコールされたとき、冒頭の言葉が口をついてしまったわけである。
それでも、平内をマウンドに上げ続ける理由
そうして案の定、広島戦では5度目のリリーフ失敗で負け投手にもなった。ただ、それでも原監督はその後も辛抱強く、この右腕を8回のマウンドに上げ続けているのである。
実はそんな姿に昨年のある光景を思い出した。
ビエイラの起用法である。
圧倒的なボールのパワーを持つが、制球がままならずに四球から自滅するパターンを繰り返す助っ人右腕を、これでもかというくらいに我慢強くマウンドに上げ続けたのが原監督だった。
「なぜビエイラだ」
外野からは批判もあったし、ビエイラの名前がコールされたときに、実は平内と同じように「またか……」と声を失っていた。それでも失敗もある中で場数を踏んで、相手打者を抑えることでビエイラは少しずつリリーバーとして成長していった。
その起用が昨年5~9月に32試合連続無失点を記録した“覚醒”の背景だったのである。その後は肘痛で登録を抹消され、今季もあの快進撃の面影は全く見られないままに、ファーム落ちすると左脛骨骨折で今季の出場はほぼ絶望となってしまった。
後に原監督に昨年のビエイラの起用について聞いたときに、こんな答えが返ってきた。