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“元アイドルのパワーファイター”ひめか覚醒の日…父の死を乗り越え、スターダムリーグ戦で林下詩美にも勝利「もうクヨクヨしてられない」 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byNorihiro Hashimoto

posted2022/08/10 17:00

“元アイドルのパワーファイター”ひめか覚醒の日…父の死を乗り越え、スターダムリーグ戦で林下詩美にも勝利「もうクヨクヨしてられない」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

今年の5★STAR GP開幕戦にて林下詩美に勝利し、勢いに乗るひめか

ジャンピングニーを決めると鶴田ばりの「オー!」

 6月15日には、後楽園ホールでの『Fortune Dream 7』に参戦。小橋建太がプロデュースするイベントで、同じスターダムのレディ・Cと対戦した。なぜこのカードなのか、もちろん理由があった。

 ひめかはアイドル時代、全日本プロレスの応援大使だった。そこでプロレスと出会い、グループ解散後にレスラーとなる。アイドルの時から、体が大きいのでニックネームはジャンボ。レスラー修行中に秋山準からジャンピングニーアタックを教わった。ジャンボ鶴田の代名詞でもあった技だ。

 一方のレディ・Cは日本現役女子プロレスラー最長身の177cm。得意技はフロントキックにチョップ、河津落としなど。つまりジャイアント馬場の技である。身長を活かすために研究し「大切に使ってきました」。

 全日本から生まれたジャンピングニーが得意技の「ジャンボ」と、馬場さんの技を使う女子レスラーの対戦、つまりは“令和の女子版馬場vs鶴田”だ。過去にも対戦はあったが、小橋建太プロデュースの大会で闘うことに大きな意味があった。

 レディ・Cは“ジャイアント殺法”に加え、小橋ばりにコーナーでのマシンガンチョップも。ひめかはそれを受け切った上でジャンピングニーを決めると鶴田ばりの「オー!」で拳を突き上げる。最後は自身の最高のフィニッシュ技であるランニングパワーボムで3カウント。「オー!」はこの日だけの特別なパフォーマンスだったが、それ以外はいつも通りだった。

「“どうせ見た目だけだろ”みたいな。でも実際には…」

 ひめかにとって『Fortune Dream』出場は目標であると同時に「夢のまた夢」だった。

「プロレスを始めるか始めないかの頃、秋山さんに相談したら小橋さんを紹介してくれたんです。小橋さんは“プロレスをやるなら『Fortune Dream』に出るような選手になってほしい”と言ってくださって。だからカードが発表された時は信じられなかった」

 自分たちの試合を担当してくれた和田京平レフェリー、木原文人リングアナも「ファンとして見てきた方たち。“胸熱”でした」。特別な上にも特別な舞台で、だからこそ彼女は「いつもと同じ“スターダムのひめか”を見てほしかった」と言う。

「カードを組んでいただけたのは、スターダムでの試合が認めてもらえたからだと思うんです。しかもお客さんは小橋さんのファン、男子のプロレスを見ている人たちじゃないですか。そういう人たちに女子プロレス、スターダムのプロレスを伝えたくて。

 以前は私もそうだったから分かるんですけど、女子プロレスに偏見を持ってる人もいるんですよ。今は可愛い選手も増えたから、余計に“どうせ見た目だけだろ”みたいな。でも実際には女子だって熱い試合をしている。普段は男子しか見ない人たちに“女子も面白いな”と思ってほしいし、会場にも来てほしい。そのためにはいつも通りの試合をするのが一番いいなって」

【次ページ】 父の死…悲しみを乗り越えて

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