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村上宗隆は「落合さん級の選手になり得る」「(攻め方は)わしらからしたら甘い」達川光男が“村上の打ちまくる理由”を分析《世界新の5連発》
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byKYODO
posted2022/08/03 11:05
世界新の「5打席連続ホームラン」を放った驚異の22歳・村上宗隆。その打撃と可能性について、野球解説者の達川光男氏に聞いた
「これだけのバッティングをしているなかで、盗塁9は立派だ。優勝争いをしているチームならば、打てなければピンチヒッターが送られ、守れなければ守備固めが送られる。足が遅かったら代走を送られるけど、彼にはそれが必要ないからね。走攻守、全てを兼ね備えているということ。このコロナ禍のなかで、2日まで全試合出場を続けていたからね。何より体が強い。これが素晴らしいよ。今まで沢山のいい選手を見てきた。落合(博満)さんは三冠王を3度もとられたりしていたけれど、そういう選手になり得る可能性があるのは今、村上だけだろうね」
相手の攻め方には「わしらからしたらありえん。甘いよ」
一方で、数々の大打者と勝負をしてきた達川氏にとって、村上に相対するバッテリーの攻め方は少し、気になるところだ。春先から首位独走を許すヤクルトの不動の4番。特に夏場の対戦では、コロナ禍に見舞われ主力を欠いたヤクルト打線の中で、唯一気を付けなければいけない看板打者の村上に対し、安直に勝負にいって打たれる場面が目立った。
「あれだけホームランを沢山打っていて、今シーズン、デッドボール3ついうのはありえないよ。あのくらい踏み込んで打つホームランバッターは見たことない。落合さんでも山本浩さんでも、王さんでも、ホームラン王をとったときの掛布でも。みんな軸足の反対側は開いて打っている。村上があれだけ安心して踏み込んでいるというのは、わしらからしたらありえん。甘いよ」
当然、村上に死球を当てていいという意味ではない。例えば7月31日の阪神戦では、2-2の延長11回、2死1塁で2打席連発中の村上を迎え、阪神バッテリーはあえて勝負を選択。1球だけ足元への変化球を投じたが最後(3球目)は真ん中高めに甘く入ったナックルカーブをレフトスタンドに運ばれた。移動日をはさんだ2日の中日戦でも、先発の柳裕也は村上に4球全て外角寄りに投じて4打席連続ホームランを献上。続く3回の第2打席では、インサイドに3球投じているが、カウント3-2となったところで投じた外角へのチェンジアップに村上の腕が伸び左中間へ運ばれている。