プロ野球PRESSBACK NUMBER
村上宗隆は「落合さん級の選手になり得る」「(攻め方は)わしらからしたら甘い」達川光男が“村上の打ちまくる理由”を分析《世界新の5連発》
posted2022/08/03 11:05
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
KYODO
ヤクルトの村上宗隆内野手が8月2日の中日戦で5打席連続となるホームランを放ち、プロ野球、さらには世界新記録となる偉業を成し遂げた。3連発を記録した2日前の阪神戦から日をまたぎ、徹底マークを跳ね返しての偉業。快進撃を続ける驚異の22歳の打撃とその可能性について、野球解説者の達川光男氏に聞いた。
「いやー、打ったね。5連発。村上のあの豪快さは、絶好調の頃の掛布によく似ていますね。同じサードで左打者。インコースが苦手だと言いながらうまくさばいたり、あの頃の甲子園にはラッキーゾーンがあったけれど、掛布は逆方向のレフトにもよう打っていたよね」
想起させる「三冠王」落合博満の姿
首位・ヤクルトをけん引する村上の活躍に達川氏が思い起こしたのは、阪神の掛布雅之だ。達川氏が現役当時の1980年代中盤、広島と阪神は毎年優勝争いを展開。バース、岡田とともに中軸を担った掛布は、パワーに独特の柔らかさも併せ持った打撃で鯉の名捕手を悩ませた。1982年、84年には本塁打王を獲得(79年含め計3度)。85年には劇的Vを導いた「ミスタータイガース」の若き日には、村上の姿も重なる。
「今の日本球界においては、三冠王に一番近い男は村上以外にはいない。下手したら、今年とるかもわからん。でも、彼はおそらく、チームが勝つことしか考えていないんだよ。打率トップの佐野(恵太/DeNA)とは1分5厘くらい差がある。村上もホームランを狙わなければ3割5分くらいは打つだろうけれど、優勝争いをしているなかで首位打者をとるために打率を上げにいく考えはないだろうね。チームのために、という打席を重ねるなかで獲れればいいね」
村上の打者としての価値は、実は打撃の数字以外の部分にもあらわれているという。