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羽生結弦「引退なのかって言われたらそんなことはない」稀代のスケーターの転身と4回転半への可能性《東スポはすでに復帰報道!》
posted2022/08/02 06:00
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
BUNGEISHUNJU
7月のスポーツ新聞時評です。まずなんと言ってもこちらの記事です。
『羽生引退 今日午後5時決意表明』(日刊スポーツ7月19日)
《フィギュアスケート男子で冬季五輪2連覇の羽生結弦(27=ANA)が、現役引退してプロ転向する意向を固めたことが18日、分かった》
ここで注目したいのは「引退」という文字なのです。というのも翌日のスポーツ紙には「引退」という文字はあまり使われていなかったからだ。羽生の記者会見で何があったのか?
会見翌日、前日に「引退」と報じた日刊スポーツ一面は『アマからプロへ羽生の思い』(7月20日)となっていた。
サンケイスポーツは『夢の続きはプロの舞台で 貫く!!羽生結弦の美学』
スポーツ報知は『五輪連覇レジェンド 27歳プロ転向決意 ありがとう羽生』
報知は冒頭で「プロのアスリートとしてスケートを続けることを決意した。理想としているフィギュアスケートを追い求めるのは競技会でなくてもできる」という羽生の言葉を書いている。日刊スポーツも会見内容の小見出しに「ここからがスタート」という言葉を使っている。
会見からわかるのはプロに転向するのだから引退ではないという羽生の「意思」だ。
スケーターにとっての引退とは?
サンスポはこんな言葉を紹介していた。
《野球を頑張っていて、甲子園優勝しました。プロになりました。それは引退なのかって言われたらそんなことはない。》
確かにそう。もしかしたら会見前に「引退」と報道されたので、この点を強く説明せざるを得ない気持ちもあったのだろうか。
羽生は「これから競技会というのに出るつもりはないです」と語ったが、スケート界における「プロ」と「アマチュア」の違いとは何か。