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大阪桐蔭・西谷監督は根尾昂をどう評価していた?「時間のかかる選手」と語った真意 他球団では“高卒ショートの長期育成”が進むが…
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byKYODO
posted2022/07/06 11:03
「1人前になるのにすごく時間のかかる子」。大阪桐蔭・西谷浩一監督が語っていた“根尾昂評”とは
中学時代にやっていたスキーでは世界大会に出場したこともある腕前。そのおかげもあって体幹が強く、それをプレーに活かせた時には途轍もないパフォーマンスを発揮する。
部長の有友茂史が根尾についてこう語っていた。
「切り返しの速さは凡人とは違うなと思います。わかりやすく言えば、投手をしているときの連係プレーですね。投げ終わってから、体を切り返してカバーに行く速さなどはずば抜けていた」
大阪桐蔭の首脳陣から伝わってきたのは、根尾には普通の野球選手として当てはめられない部分が大きいということだ。
ヒットメーカータイプだが、スイングの質は「中南米の選手のようなスイング」と有友は説明している。それほど理解することが難しいプレイヤーだった。
だから、西谷は当時から「一人前になるのにすごく時間のかかる子だな」という印象を持っているのだという。
それは中日に入団して4年目を迎える今の根尾が直面している部分でもある。
この春のセンバツを制して間もない大阪桐蔭を訪れた際、西谷に根尾について尋ねると、やはり「時間」のことを危惧していた。
「時間のかかる選手だなという印象は今も変わらないですね。彼が『根尾昂』という名前でないなら、誰も気にしないと思います。ゆっくりファームで育てようと思ってくれるはずですよ。でも、根尾はドラフト1位で、甲子園で活躍した選手であることはみんなが知っていて、待ってくれないですよね。そこが難しいところではないでしょうか」
他球団が取り組む“高卒ショートの育成”
今シーズンの根尾からは苦しみが伝わってくる。
開幕を外野手としてスタートしたが、シーズンに入ると遊撃手のレギュラーである京田陽太が不調に陥りチャンスが巡ってくる。遊撃手としての調整の令が下る。
一方、投手としての調整も再開。ファームで野手兼任として登板したのち、一軍でも本格的に投手デビュー。6月21日から投手登録に転向し、ピッチャーとして奮闘している。
中日球団の根尾に対する度重なるポジション変更は賛否が分かれるところだろう。内野のレギュラーが埋まっているからと外野手登録になったかと思えば、内野に穴が開くとそこに当てられる。内野のレギュラーが復帰すれば、再び外野に戻る。そして投手にコンバート。