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『BOSJ』3連覇で藤波辰爾から歴史を継承… 高橋ヒロムが語った“ジュニアの矜持”「オレはオレのやり方でライガーさんを超える」
text by
原悦生Essei Hara
photograph byEssei Hara
posted2022/06/08 11:03
エル・デスペラードとの30分超の熱戦を制し、史上初の3連覇&史上最多4度目の『BOSJ』優勝を果たした高橋ヒロム。藤波辰爾からトロフィーを手渡される
「プロレスラーに見えない」体格でどう爪痕を残すか
話が自身の経験に基づいた“ジュニアヘビー論”に及ぶと、ヒロムの口調にさらに熱が入ってきた。
「オレたち小さいジュニアの人間っていうのは、ただでさえレスラーとして見られないんですよ。悔しいことに素顔ですよ。高橋ヒロム、街歩いてます。知らない人が『プロレスラーだ』ってわかると思いますか。絶対わからないです。ちょっと体格がいい人、『なんかスポーツやってる人なのかな』とは思っても、プロレスラーっていうふうには思わない。それを少しでも、初めて観に来るお客さんに、どうやって印象を残すか、どうやって覚えてもらうかって言ったら、やっぱり見た目でちょっとした派手さを演出するしかないんですよ」
ヒロムはライガーを例にあげて、「ジュニアヘビー級のプロレスラー像」について語った。
「ライガーさんはマスクマン、全身コスチューム。もう、どっからどう見てもプロレスラーですよ。マスクマンのうらやましいところなんですよ。小さくてもマスク被っていたら『あっ、プロレスやってる人だ』ってわかるじゃないですか。それって、マスク被っていない人からしたら、やっぱうらやましいんですよ。
ライガーさんだってべつに身長はないじゃないですか。身体は大きいけど。でも、その身体をもってしても、プロレスラーって思われるかどうかわからないですよ。デカい人は今いっぱいいますからね。一般の人でも鍛えて凄い人、いっぱいいますからね。やっぱりレスラーっていうのはいつの時代も、『身長が高くて、身体が大きくて』っていうイメージがあるわけで、そのイメージを10年や20年で壊すなんて難しいですし。壊しちゃいけない部分でもありますし。
だから、オレがやっていることは絶対に間違ってない。『オレはオレのやり方でライガーさん、アナタを超える』ってメッセージをちゃんと捉えてほしいなと。『なんかいろいろ考えがあると思うけど』とも(ライガーは)言ってましたけど。もちろん考えがなきゃこんなことやってません。考えがあるから、オレはこういうことをしてるんです。こうやって、真面目にしゃべることもするじゃないですか? ふざけてるだけじゃないんです。真面目な時は真面目にしゃべるんですよ。それはわかってほしいなってふうに思いましたね」
恵まれた体格を持たないプロレスラーが爪痕を残すための生存戦略と、譲れない矜持。高橋ヒロムは高橋ヒロムなりのプロ意識を、確かに示してみせた。
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