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清宮幸太郎は通算27本塁打、「外れドラ1」村上宗隆119本、安田尚憲は… 明暗分かれた「高卒5年目スラッガー」今後どうなる?
posted2022/05/31 11:04
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
JIJI PRESS
日本ハムの清宮幸太郎は5月28日の巨人戦で2打席連続本塁打を打った。
今季はこれで6本。キャリアハイは7本だから、今年、これをクリアするのはほぼ間違いないところだ。
清宮と言えば、筆者はヤクルトの村上宗隆、ロッテの安田尚憲とセットでとらえてしまう。3人は1999年度生まれ、右投左打の大型内野手、高校時代からスラッガーとして知られていたが、2017年のドラフトで運命が交錯した。
清宮は中学時代からずば抜けたスラッガーとして注目され、早稲田実業に入ると1年生から全国的な注目を集めた。清宮が1年の2015年夏、早稲田実業は5年ぶりに夏の甲子園に出場し、準決勝まで進んだ。
さらに2017年春にも甲子園に出場。世代最強のスラッガーとして2017年ドラフトでは7球団が指名、日本ハムがくじを引き当てたが、清宮を指名できなかった6球団のうち3球団は九州学院の村上宗隆、残る3球団は履正社の安田尚憲を指名。村上はヤクルトに、安田はロッテに入団が決まった。つまり村上と安田は清宮の「外れ1位」だったのだ。
清宮は2018年5月2日の楽天戦6番DHで一軍デビュー。初打席で岸孝之から中越えの二塁打、9日のオリックス戦では右越えにプロ初本塁打。このシーズンは7本塁打を放った。
1年目はそれぞれファームで本塁打を量産した
筆者は安田尚憲のデビューに立ち会った。石垣島での春季キャンプ中の2月17日、台湾Lamigoとの交流戦で4番三塁に座った安田はプロ初安打を打った。いきなり4番で起用するところに井口資仁監督の期待感が伝わってきた。
高校時代捕手だった村上はプロ入り後は内野手となり、二軍の中軸として活躍。1年目のイースタンリーグでは清宮と村上が17本塁打、安田が12本と揃って大物スラッガーの片りんを見せつけた。
村上と安田はこのオフ、台湾のアジアウインターリーグに派遣されたが、イースタンの3番、4番を打って大活躍。台湾のスポーツ紙は「若きスラッガー」と書き立てた。
筆者は台中で台湾紙の記者から「清宮は来ないのか? 清宮ならもっと打つのだろう」と言われた。当時、日本ハムはウインターリーグに選手を派遣していなかったが、清宮の名は台湾でも知られていた。
2年目に入って“覚醒”したのは村上だった
1年目の3人は清宮がやや飛び出したものの、横並びという印象だった。しかし2年目の2019年、その様相は一変する。