プロ野球スカウト「ドラフトに“飛び級”があったら、今年でも1位」45年前の江川卓を思い出す…法政大2年投手・篠木健太郎とは何者か？

　4月9日。神宮球場に着いたのが第1試合の終盤だったので、ネット裏はほぼいっぱいだった。観衆の数にまだ制限はあるが、「六大学」にも少しずつ盛況が戻りつつある。

　陽射しを背にしてグラウンドの様子を見ると、まぶしくなくて、あざやかに見えるので、三塁側のスタンド……ダグアウトの上方に席を見つけて座っていた。

　第2試合の法政大学の先発投手が「篠木」というアナウンスがあって、オオッと思った。

　来て、よかった……！

　木更津総合高の快速球右腕・篠木健太郎投手の圧倒的なスピードで相手チームをなぎ倒すピッチングは、何度も見ていた。

　当時で、145キロ前後はコンスタントに出ていたと思う。

　快速球だけじゃない。変化球もタテ、横にボールを動かして「技術」を兼ね備え、おまけに打撃でもパチンと鋭く振り抜いて出塁すると、サッとスタートをきって二塁ベースまで奪ってしまう。快足と走塁センスまであるのだから、相手にとってはこんなに手が焼けて、見ている者にとってはこんなに楽しく愉快な選手もいなかったものだ。

　本人が「うん」と言っていれば、中京大中京・高橋宏斗（現・中日）、福岡大大濠・山下舜平大（現・オリックス）と共に、ドラフト1位もあるのではないかと思ったが、「自分はまだ体も細く、体力もない」と大学進学を早めに表明していた。

早大の“ドラ1候補”から空振り三振

　立ち上がりから、その法政大・篠木健太郎（2年・177cm75kg・右投左打）が飛ばしに飛ばす。

　コンスタントに148～151キロの快速球を続けて、速い、速い。

　それでも、この春のリーグ戦の開幕戦だ。ちょっと力んでゾーンが高くなったが、そこに気づいて80％程度の力感にきり変えた2回以降はボールの抑えも効いて、甲子園組がズラリ居並ぶ早稲田大学打線でも手が出ないんじゃないか……そう思わせた。

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