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7つ上の“年の差婚”「今は彼のほうが大人」アスリート夫婦・野口啓代(32)が明かす新婚生活、野菜が苦手な夫のために栄養学を勉強中
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byAkiyo Noguchi
posted2022/04/03 11:02
昨年の12月25日に入籍を発表した、スポーツクライミング東京五輪日本代表の楢崎智亜と野口啓代
2人の出会いは楢崎が中学生の頃にさかのぼる。
当時同じコーチに師事し、共有する時間も多かった。日本代表としてW杯を転戦することが増え、それぞれが抱える悩みや迷いを相談するうちに自然と距離が縮まり、楢崎のアプローチで交際が始まったという。
「私はランジ、コーディネーションなど運動神経を使う技が苦手だったんですが、逆に彼はそれを得意としていたのでよく教えてもらっていました。そのうちに距離が縮まっていって。でも、私と彼は年齢差が7歳あったので、最初は付き合うことがあまり想像できなかったんですよ。だから最初はけっこう悩みました。
ただ恋愛禁止でもなかったですし、クライミングの選手同士で付き合ってはいけないというようなルールもなかったので自然とそういう感じになっていったんだと思います。クライミングの選手はそのあたりの恋愛と競技とバランスを両立できていると思いますね」
付き合い始めの頃は「まだ精神的に幼かった」という楢崎も、今は「彼のほうが大人」に感じるという。7歳差も気にならない。
「彼といなければいまどきのラッパーや音楽にも興味を持たなかっただろうなって思うんです。教えてもらったり、一緒に見たりするうちに興味を持つようになって、ちょっと若返った気分(笑)。そういう思考で生活できている毎日が、すごく楽しいですね」
「彼がいなかったら東京五輪を諦めていたかも」
スポーツクライミング界を男女で牽引してきた2人だからこそ分かり合える、勝利の喜びや負けたときの悔しさ。多くの時間を共にし、お互いが努力する姿を間近で見てきたからこそ、現役中は相手の存在が刺激となり、気持ちを奮い立たされることもあった。
「2人とも成績が出ていればいいんですが、もちろん、調子の波があったりするので……。それに、毎回良い成績を残せるわけではありません。正直、そのあたりでお互い悩んだりイライラしたりすることはありました。
実は私は怪我もあって一時は引退しようかなと考えたり、東京オリンピックを目指すかどうか迷っていた時期があったんです。楢崎はすごく調子が良くて東京オリンピックでも金メダルを一番期待されていたんですが、彼をはじめ、周りのコーチや近しい選手は五輪を目指すという雰囲気にすごく溢れていて、“一緒にでたいな”という気持ちが強くなっていったんです」
もちろん、五輪を目指すと覚悟したのはそれだけが理由ではありませんが、彼がいなかったら、自分一人だけだったら、そこで東京オリンピックを目指すことを、もしかしたら諦めていたかもしれません」