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井上尚弥とノニト・ドネアの再戦が意味するものとは?「次は階級を上げることが目標」バンタム級で“最後の大一番”になる可能性も
text by
渋谷淳Jun Shibuya
photograph byNaoki Fukuda
posted2022/04/01 17:04
ノニト・ドネアとの再戦に向けて、記者会見でモチベーションの高さを語った井上尚弥。2019年11月の前回対戦はリング誌の「ファイト・オブ・ザ・イヤー」に選出された
カシメロとバトラーは4月22日にイギリスで対戦するから、井上がその勝者と4団体統一戦というシナリオが完全に消滅したわけではない。ただし、井上はWBO王者の試合キャンセルのあと、「カシメロに興味はない」と斬り捨てた。交渉を有利に進めるための布石という見方もできなくはないが、リスペクトできない相手とあえて拳を交える必要はない、という思いは本音だと感じる。
「記録やベルトに興味はない」階級を上げることも示唆
井上は記者会見で「3団体統一、ドネアとの再戦、どちらがモチベーションを高めるのか」と問われて次のように答えた。
「自分の中ではドネアとの再戦、そこが一番だと思っている。この試合、ベルトがかかっていてもかかっていなくても、自分はドネアをしっかりと倒す。そこだけを考えてやっていきます。もう昔から言ってますけど、記録だったりベルトだったりはさほど興味はなくて、このベルトを取ったとしても次は階級を上げたりとか、そういうところに目標を持っている」
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井上は4年間チャンピオンとして君臨したバンタム級で、ドネア戦を総仕上げと位置づけた。そう言えるのではないだろうか。
「ドネアとの再戦、自分の中で一度決着はついていますが、決まったからには必ず前回以上の内容で勝つことを約束します。13ラウンド目からの戦いだと覚悟を決めている」(井上)
「自分のパワーを使ってすべてを出し尽くすつもりだ。井上が何をしてきても、すべてに対応してみせる、賢く、獰猛なファイターになる。勝つために必要なことは何でもする」(ドネア)
井上尚弥とノニト・ドネア。今、バンタム級で最高と目される2人が己のプライドと今後のボクシング人生をかけて激突する。
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