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データ偏重にレジェンド鳥谷敬が抱く“大きな不安”…「全てが予想できてしまうかもしれない」「選手の成長を妨げている部分も」《新たなDH制も提言》 

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2022/03/30 11:02

データ偏重にレジェンド鳥谷敬が抱く“大きな不安”…「全てが予想できてしまうかもしれない」「選手の成長を妨げている部分も」《新たなDH制も提言》<Number Web> photograph by Wataru Sato

虎のレジェンド・鳥谷敬氏に、DH制の是非やデータ偏重への“懸念”を語ってもらった

「野球の質というか、根本的にドラフトから違いますよね。セ・リーグはDH制がないので、野手はユーティリティじゃないですけど、基本的に打って、守って、走れるという平均値の高い選手が多くないとチームが回っていかない。逆にDH制のあるパ・リーグは、打撃、守備、走塁とそれぞれに特化した選手を獲ることができる。その選手たちが年月を経てそれ以外の部分の力もつけていけば、“平均的な選手”との差は出てきますよね。投手に関しても打順のめぐり合わせで交代することがないので、球数を投げ、経験値を積んでエースになっていく。個々の能力という点ではDH制がある方が当然、高めやすいと思いますね」

両リーグDH制では「どちらかの魅力しかなくなる」

 となれば、将来的にセ・リーグもDH制を導入した方がいいのだろうか。

「それは正直、どっちでもいいですね(笑)。野球はいいピッチャーが投げて、いいバッターが打って、点取りゲームだ、ということに醍醐味を感じる見方もあれば、そうではない面白さもある。例えばセ・リーグは、投手の交代や代打のタイミングなど、監督の采配で色々な駆け引きがあります。両リーグともDH制にしてしまったら、どちらかの魅力しかなくなってしまう。

 例えばですが、5年間だけDH制をセ・パ逆にしてみるとか、DH制あり、なしを1年ごとに変えてみるとか。そっちの方が見る側も面白いし、やる側も色々な発見があると思います。ドラフトやトレードの戦略も変わってくる。1年ごとにDH制のあるリーグに呼ばれる選手が出てきたりするかもしれない。どっちかにこだわるのではなく、どっちもやってみたらいいんじゃないかなと思います」

現役時代に驚いた「ボールの変化」

 プロ1年目の04年は球界再編問題が勃発。新球団の誕生や国際試合の増加、統一球問題など、プロ生活の18年間で野球界には様々な変化があった。

【次ページ】 データ偏重に思う“一抹の不安”

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