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「本当に俺らが甲子園に出ていいのか?」“初めての21世紀枠”に選ばれた安積高校の困惑と発奮「灯火を消すような試合はできない」
posted2022/03/19 06:00
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Sankei Shimbun
2001年の第73回大会から、春のセンバツに導入された21世紀枠。同年、沖縄県立宜野座高校と共に「初めての21世紀枠」に選ばれた福島県立安積高校の選手は、どんな思いで甲子園のグラウンドを踏んだのでしょうか。雑誌『Number』に掲載された記事を特別にWeb公開します。<初出:Sports Graphic Number 923号(2017年3月16日発売)、肩書などすべて当時>
「本当に俺らが甲子園に出ていいのか? という感じでした」
そう語るのは、21世紀枠が導入された2001年、宜野座高と共に選出された福島の安積高で3番を打った、佐藤健太さんだ。1890年創部という長い歴史が評価された。
「初めは戸惑いましたが、監督や主将を中心に『1回目に選ばれた以上、この灯火を消すような試合はできない』と話し合い、チーム全員が高揚していきましたね」
この年の郡山市は豪雪に見舞われ、強力な援助体制が整えられた。市内のメイン球場を借り、父兄やOBが内野を雪かきして使用。OBが経営する米屋の倉庫に人工芝を敷き、ノックやティー打撃を行った。休日は、降雪の少ないいわき市の球場も使わせてもらった。
「突然、別世界に来た感覚でした。福島版のスポーツ紙では、選手一人の紹介で紙面の半分。信じられないですよね(笑)」