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水島新司先生って実は“将棋マンガ”も描いていた? 草野球で対戦、『あぶさん』にも登場した棋士が知るマル秘エピソード
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph bySports Graphic Number
posted2022/03/03 11:00
Number45号に登場した水島新司先生と、611号のイラスト表紙。実は将棋も好きだった?
「キングス」の選手たちは、棋士、奨励会員(棋士の卵)、将棋ライターなど。大半が少年時代に野球は未経験だった。ただ試合で実戦経験を重ね、全力でプレーしたので、次第に技術がついてきた。左腕のエース・有野のカーブは切れが良く、なかなか打たれなかったので、強いチームにも僅少の点差でそこそこ戦えた。
酒豪の強打者「景浦安武」と夢の”共演”
印象に残っているのは、ビートたけしさんの巧みな投球と強力な打撃だった。筆者はカーブで空振りし、大飛球で頭上を抜かれた。
「ボッツ」の野球は、基本に徹して機動的だった。スチール、ヒットエンドラン、スクイズなど、状況に応じた技を見せた。水島さんは投手として、直球と変化球を投げ分けた。
野球の試合が終わると、「キングス」の選手たちは近くの飲食店「茜」に行き、ビールを飲みながら戦いを振り返った。そこは野球仲間のたまり場だった。水島さんも同席することがあり、野球論をたまに聞かせてもらった。
写真は、1985年に発行された水島さんの作品『あぶさん』第31巻「利き酒」の表紙。
その最後の章では、茜リーグの選手たちが「茜」に集まり、オフシーズン恒例の利き酒をする様子が描かれている。筆者もユニフォーム姿で参加した。
写真の漫画コマ・中段は、選手たちが出身地の自慢の日本酒を持ち寄ったところで、長野県生まれの筆者は「真澄」。
やがて、利き酒にちなんでドラフト制度の話題に移る。
写真の漫画コマ・下段は、筆者が「愛する球団はあるんです。しかし指名されたら、どこへでも行くことです……」と語ると、景浦安武が「その通りですよ」と応じた場面。
いずれもフィクションだが、人気漫画『あぶさん』の作中で、筆者が酒豪の強打者「景浦安武」と会話する場面があるのは、とても光栄である。