オリンピックPRESSBACK NUMBER
戸塚優斗(20)のバイクは「230万円超のBMW」、平野歩夢の契約金は“異次元”…スノーボーダーたちのリアルな収入事情とは?
text by
津金壱郎Ichiro Tsugane
photograph byJIJI PRESS
posted2022/02/14 17:02
平野歩夢(左)と戸塚優斗(2021年全日本選手権にて)
リアルな収入事情「愛車は230万円超のBMW」
そして迎えた今シーズン、12月の招待大会のデュー・ツアーに優勝した後は、五輪への調整を優先してX ゲームを回避するなど、勝負技のトリプルコーク1440のブラッシュアップにつとめてきた。だが、北京五輪では大技にトライさえできずに競技を終えた。
「3本目、トリプルにトライしようと思っていたので、たどり着けなかったのが本当に悔しいですね。立つ立たないよりも、そこまで行けなかったのが本当に悔しいですね」
競技後の戸塚のコメントを新聞各紙が報じているが、きっと戸塚はポツリポツリと言葉を紡いだのではないか。そんな光景が戸塚を取材した経験から浮かんでくる。
喋るのを面倒臭がってポツポツ語るアスリートも少なくないが、戸塚のそれは『横板に雨垂れ』。質問に対して自分の気持ちを的確に表す言葉を見つけ出すのに時間を要するだけで、焦れずに待っていると一生懸命に伝える努力をしてくれる。
そんな戸塚でも立て板に水のごとく喋り始める話題がある。それが戸塚をして『相棒』といわしめるバイクについてだ。戸塚の愛車はBMW Motorradの1000ccのスーパーバイク。サーキット走行対応のモンスターマシンは、最高速度がカタログ値で300km/h超。もっとも安いモデルでも230万円以上もする。
平野歩夢の契約金「億はくだらない」
価格を聞けば「スノーボーダーは景気がいい」と勘違いされるかもしれない。実際、トップ・オブ・トップの収入は別次元の好景気だ。
ユニクロのグローバルブランドアンバサダーをつとめる平野歩夢の契約金は、億はくだらないと言われている。スポーツ分野での成功に力を入れるユニクロは、昨年の東京パラリンピックでは車いすテニスで金メダルを獲得し、グローバルブランドアンバサダーでもある国枝慎吾に1億円の報奨金を贈った。これを踏まえれば、平野歩夢の契約金もあながちピンボケとは言い切れないだろう。しかも、平野にはほかにも何社ものスポンサー企業がついている。
しかし、それはあくまで頂点の話。戸塚の場合は所属のヨネックスに加えてスポンサー社がついているが、関係者によれば収入は総額1000万円を超えるかどうか。それだけの収入があれば、平均年収400万円時代の日本では少し余裕のある暮らしができると思ってしまうが、実情はそのほとんどが海外遠征費で消えるという。