「グランアレグリアはマイルのチャンピオンだった」5年連続リーディング騎手・ルメールが明かした“名牝への思い”と22年への抱負

　1月10日の中山競馬場。第8レースのゴール前は3頭が横一線。ハナ、ハナ差の大接戦を制したのはキミワテル（牡4歳、美浦・武藤善則厩舎）で、騎乗したのはクリストフ・ルメール騎手。昨年のリーディングジョッキー・ルメール騎手にとってはこれが今年の初勝利となった。

　この日が今年の4日目となった中央競馬の開催だが、ルメール騎手にとっては前日に続いての始動2日目。その前日は5レースに騎乗して5着が1回あるのみで後は掲示板にも載れなかった。2日目となったこの日も最初の3鞍は9、8、9着。4レース目となった第6レースでかろうじて2着すると、キミワテルで今シーズン初勝利。続くスマイル（牡6歳、美浦・堀宣行厩舎）で連勝し、一気に両目を開けてみせた。

2022年の初勝利を挙げ、喜びの表情を見せてくれたルメール

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「最優秀スロースターター」？

　初勝利のレース直後「Most valuable slow starter（最優秀スロースターター）だね」と声をかけると本人は「ハハハ」と苦笑してみせた後、言った。

「毎年、前半はゆっくりです。でも、去年は好いスタートを決めたんですけどね……」

　そう語るようにいつも序盤の成績は群を抜いているわけではなかった。ここ数年、毎年のように200勝前後をあげる騎手だから、全く勝てないというわけではなく、リーディングジョッキー争いには加わっているのだが、一気に突き抜けるのは北海道開催が始まる夏あたりから。そこからは他の追随を許さない無双状態に入るのが、例年の彼のパターンだった。

　しかし、本人が言うように昨年は年頭から年末まで、通年で平均的に勝ち星を重ねた。

　数を勝つだけでなく、大きな舞台での活躍も枚挙にいとまがなく、JRAの重賞だけで17勝。GIも5勝をマークした。

　例年JRA最初のGIとなるフェブラリーSをカフェファラオ（牡4歳＝当時、以下全て当時の年齢。美浦・堀宣行厩舎）で1番人気に応えて当たり前のように勝つと、NHKマイルC（GI）はシュネルマイスター（牡3歳、美浦・手塚貴久厩舎）でソングラインをハナ差、差し切ってみせた。

シュネルマイスター　©Satoshi Hiramatsu

　ルメール騎手は述懐する。

「直線に向いてソングラインが先頭に立ち、突き放すのが見えた時は少し差が開いてしまったので『届かないかな？』と思いました。でも、そこからシュネルマイスターは素晴らしい反応を見せてくれました。彼は若いけど、マイルでは高いポテンシャルを持った良い馬です」

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