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スターダム退団マッチで小波が“亡き戦友”木村花の技に込めた意味とは? 対戦したジュリアは試合中に涙…「まだまだNEVER ENDです」

posted2022/01/12 17:02

 
スターダム退団マッチで小波が“亡き戦友”木村花の技に込めた意味とは? 対戦したジュリアは試合中に涙…「まだまだNEVER ENDです」<Number Web> photograph by Norihiro Hashimoto

スターダム退団となる試合で“戦友”木村花さんの得意技ハイドレンジアを繰り出した小波

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Norihiro Hashimoto

 3カウントが入る前から泣いていた。

 2021年12月29日のスターダム・両国国技館大会。この日、団体トップの一角であるジュリアが負傷欠場からの復帰を果たした。小波とのシングルマッチで、得意技グロリアスドライバーを決めフォール勝ち。小波を抑えこみ、レフェリーのカウントを聞くジュリアの表情は感極まっていた。

 試合を終えたジュリアに話を聞くと、確かに込み上げるものがあったという。ただそれは、復帰の感慨からではなかった。

「体のコンディション自体はメチャクチャよかった。休む前の痛みが強烈すぎたんで。むしろ他の選手より元気じゃないかなってくらい。試合勘とかは……どうかなぁ。今日はいつもとは違う試合だったから。送り出す試合というのが初めてだったので」

 この試合はジュリアの復帰戦であると同時に、小波の退団マッチだった。小波は体調不良が続いており、10月には急性腸炎で欠場。今後はフリー扱いとなり、リングに戻ってくるかは体調を見ながら、ということになる。

「一度、自分と向き合う時間も作りたい」(小波)

 戻ってくる時はスターダムに、とも語っている。

退団マッチの相手がジュリアだった理由

 両国大会が小波の現時点でのラストマッチと聞き、復帰とともに対戦の名乗りを挙げたのがジュリアだった。

 ジュリアと小波には、表立った関係性はなかった。だがその仲は「深いものだった」とジュリアは言う。そうなったのは、ジュリアの移籍がきっかけだった。

 2019年秋、ジュリアはアイスリボンからの退団を表明し、スターダムの興行にサプライズ登場して参戦宣言。だがこの時点でアイスリボン側は退団を認めていなかった。立場としては運営会社の社員。ジュリアの行動は「無断欠勤」だとアイスリボンの佐藤肇社長は説明している。

 当時の状況を考えると、ジュリアにも心苦しい部分があったのではないかと想像できる。とはいえ、この“電撃移籍”は今の時代には強引すぎるように見えた。

 スターダムのオーナーである木谷高明・ブシロード会長も「昭和どころか平成も終わってるんですから」と苦言を呈した。

 その後、あらためて両団体の間で話し合いがあり、スターダム入団が決まる。ネガティブなイメージがつきまとう移籍劇になってしまった。

 だがジュリアは圧倒的な存在感と激しいファイトで翌2020年のプロレス大賞において女子プロレス大賞を受賞する。

 入団直後に抗争を展開したのは木村花。ジュリアは2020年5月に亡くなった花の最後のライバルだった。2人のファイトは文字通り喧嘩腰。気性の激しさがぶつかりあう試合ぶりで、ジュリア自身も一皮むけた感があった。

【次ページ】 「カバンをソリに…」小波のイタズラがジュリアを支えた

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