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「騎手の仕事に性差はあるか」「育児との両立は困難?」JRA初の女性騎手・細江純子が明かす“競馬界と女性”の問題への本音 

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音部美穂

音部美穂Miho Otobe

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2021/12/24 11:03

「騎手の仕事に性差はあるか」「育児との両立は困難?」JRA初の女性騎手・細江純子が明かす“競馬界と女性”の問題への本音<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

現在はホースコラボレーターとして活動を続ける細江純子に“競馬と女性”の問題を聞いた

“永久的に2kg減”は「女性騎手に非常に有利な制度」

 ‘19年には女性騎手を対象とした新たな負担重量減量制度が実施された。負担重量とは、馬が背負う騎手や鞍などの総重量のことで、当然ながら軽いほうが馬への負担は少ない。

 JRAでは、新人騎手の騎乗機会を確保するため、かねてから負担重量の減量制度を設けてきた。これまでは、デビュー5年未満の見習い騎手は男女問わず3kg減からスタートし、その後は勝ち数に応じて2kg減、1kg減の特典が与えられ、デビュー6年目以降もしくは101勝をあげると、この特典の対象外となっていた。

 しかし、新ルールでは、女性騎手は4kg減からスタートし、50勝すれば3kg減、101勝すれば2kg減となり、その後も永久的に2kg減の特典が与えられることになったのだ(重賞などの特別競走やハンデキャップ競争を除く)。

 そこには、女性騎手の騎乗機会を確保し、長く現役を続けてもらいたいというJRAの意図がある。

「やはり、経験を積んだうえでの2kg減は、非常に大きなアドバンテージになる。1kgの違いが1馬身分に匹敵すると言われているので、2kg減は、極端にいえば2馬身分先からスタートできるような感覚なんです。そうなれば、『この騎手に乗らせたい』と調教師が馬主に説明する際の大きな材料になり、女性騎手への騎乗依頼は増え、経験値を積み重ねることで騎手の技術や成績も上がっていく。女性騎手にとって非常に有利な制度であることは間違いないでしょう」

若手の男性騎手の乗鞍の問題も

 女性騎手の活躍の場が広がることを喜ぶ一方で、細江はやや表情を曇らせた。それは、女性騎手の騎乗機会が増えれば、その分、他の誰かの騎乗機会が減る――つまり、この新制度の“あおり”を受ける騎手もいるからだ。

「若い男性騎手たちが心配ですね。というのも、新人の頃は特に、騎乗数を増やして経験を積むことが大事。騎乗依頼が少なくなればなるほど、騎手はどんどん追い込まれて苦しくなっていく。近年では、JRAでの外国人騎手の活躍も目覚ましい。そのような背景もあり、若手の男性騎手の中には乗鞍がなくなって活躍の機会がないまま引退に追い込まれるケースもある。すべての騎手にとってベストな制度というのは存在しないのかもしれませんが、難しい問題です」

【次ページ】 「子育てと仕事の両立」は競馬界の重要な課題

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