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フランス・フットボール通信BACK NUMBER
《女子バロンドーラー》バルセロナの「女王」アレクシア・プテラスが赤裸々に語った私生活と父の死とサッカー
posted2021/12/19 17:04
text by
フランス・フットボール誌France Football
photograph by
Getty Images
2021年の女子バロンドールはアレクシア・プテラス(FCバルセロナ、スペイン代表)に決まった。アーダ・ヘーゲルベルグ(ノルウェー)、ミーガン・ラピノー(アメリカ)に続く3人目の受賞は、2位でチームメイトのジェニファー・エルモソに大差(エルモソの84ポイントに対しプテラスは186ポイント)をつけての圧勝だった。クラブではプリメーラ・イベルドローラ(スペイン女子1部リーグ)、コパ・デ・ラ・レイナ(女王杯)、UEFA女子チャンピオンズリーグの三冠を達成。個人でも今年は公式戦59試合39ゴール(11月29日現在)の成績を残す、誰もが納得の受賞だった。
『フランス・フットボール』誌12月号では、アントワーヌ・ブーロン記者によるプテラスのロングインタビューを掲載している。11月29日の公式発表がなされる前に、取材陣をバルセロナから北へ20㎞ほど行ったところにあるモレットデルバレスの自宅に招いておこなわれたインタビューと写真撮影は、プテラスの生まれ育った環境が色濃く反映されている。彼女の言葉の節々にも、気立ての良さのようなものは現れている。
前後2回に分けて掲載する、まずは前編から。(全2回の1回目/#2に続く・肩書や年齢などは『フランス・フットボール』誌掲載当時のままです)
(田村修一)
女子バロンドーラーの涙
その日バルセロナ郊外には、灰色の雲が立ち込めていた。燦々と太陽の光が降り注ぐカタルーニャの地では珍しいことである。ただ、人生において、これほどの喜びに溢れる日々が訪れるのもまた珍しいことであった。アレクシア・プテラスは、『フランス・フットボール』誌の取材陣をモレットデルバレス(バルセロナ北方に位置する人口5万人ほどの自治体)の自宅に迎え入れた。
バロンドール受賞インタビューを居間のソファでおこなうことを選んだ彼女は、ひとつひとつの質問に素直に答えた。だが、いざ黄金のボールを手渡されると、驚きと喜びで声が震え目には涙が溢れた。傍らでは母親のエリザベートもすすり泣いている。「マードレミーア(「なんてことなの!」の意)……」を繰り返すアレクシアの足元では、ヌカとネラ――彼女が飼っている二匹の犬――が跳ね回っている。
バルセロナのチームメイトは、敬意と愛情を込めて彼女を《女王》と呼ぶ。「冗談でそう言われているだけ」と謙遜するが、アレクシアが2021年にバルセロナで達成したのはリーガと女王杯、CLの三冠であり、まぎれもなく《女王》と呼ばれるに相応しいものだった。授与されたトロフィーを両腕で抱きしめながら、本当に自分が選ばれた幸福を噛みしめるのだった。