哲夫　何回か出ましたけど、ダメでしたね。ああ、このネタがウケへんのやという感じもあって。あと、（順位が低く）オフエアになると、敗者コメントみたいなのを言わなきゃならないんですよ。そこでわざとボケてたら、「ほんまに悔しいみたいなのをください」って、20回ぐらい撮り直しをさせられたんです。そういうのが嫌で嫌で……。

佐藤　僕はむしろ逆でしたね。あの頃は、ディレクターさんの言うことは絶対聞かなきゃいけないと思っていたので。

――そういうところも対照的ですね。いうことを聞かなかった人と、聞いた人。

哲夫　いやいや、今は聞けるようになりましたよ。

©Shigeki Yamamoto

佐藤　僕はむしろ、今なら言っちゃうかもしれませんね。「そういう演出は苦手なんで、やめませんか」って。哲夫君はM-1のときも「控え室にやってきました」みたいな中継があると、必ずふざけてたでしょ？　

哲夫　そうですね。あそこも含めて、僕は笑って欲しかったんで。

佐藤　マイケル・ジャクソンやったり。

哲夫　踊ってましたね。でも今は、M-1の舞台裏のドキュメントを観ると、毎回、めっちゃ感動しちゃうんですよ。こんなに泣けるんやったら、俺ももうちょっと真面目なコメントしときゃよかったなと思いますね。

佐藤　絶対、無理。

――笑い飯さんの、そういうふざけたところに憧れていたという若手の芸人が、M-1で真似しようとしたら「ボケたら、めちゃくちゃ変な空気になりそうでできませんでした」と言っていました。

©Shigeki Yamamoto

佐藤　普通、できないですよ。あの空気の中で。

哲夫　あれは何年も連続して決勝に出させてもらって勝ち取れた枠です。常連っぽく見られていたので、「ちょっと余裕かましてます」みたいな態度を取っても不自然じゃないじゃないですか。

佐藤　「笑い飯枠」に入れるコンビは、もう出てこないだろうな。

＜#3へ続く＞