ただ、前田が加わってもなおチーム最年少ということもあってか、増田は今も自身をチームにとって重要な存在とまでは認識していない節もある。リーグの新人賞ベスト5に選ばれ、ネクストスター賞も受賞するほど活躍した昨シーズンに関しても、若手らしくただひたすら思い切りプレーするだけで、自分のことに精一杯だったと振り返る。

「良い部分を取り上げてもらえることが多いんですが、なかなか試合に出られなくて我慢の時期もあって、いろんなことを経験できたシーズンでした。その中で若手として、良く言えば無我夢中でアグレッシブにプレーできたし、悪く言えばチーム全体のことをあまり考えていなかったという感じです」

昨季は58試合に出場し1試合平均5.1得点。新人賞ベスト5とTwitter投票で選ばれる「NEXT STAR賞」を受賞した増田

　もちろん、増田自身もこのままでいるつもりはない。「課題は山ほどあるので割愛させていただきます」と笑い飛ばしながらも、これからチームの勝敗により強い影響を与える存在になっていくことを自覚し、「目標となる先輩がこのチームには多い。日々の練習から、先輩たちからいろんなことを盗んでいって、それをコートで表現できるように一歩ずつ上の段階に上がっていきたい」と未来を見定める。プレー面はもとより、バスケットへの向き合い方やオフコートでの過ごし方も少しずつ学んでいるところだという。

川崎ならではの“変わらない力”

　増田が実感している川崎の強さは、「『BE BRAVE』というクラブアイデンティティのもと、やってきていることがずっと変わらないところ」だと力説する。先にも書いたように選手の入れ替えが少なく、コーチ陣も含めて同じ顔触れが築いてきたカルチャーこそが最大の強みであり、それがあってこそ今の川崎があると増田は受け止めている。

「特別指定の時はチームにいたのも短期間でしたし、今シーズンと昨シーズンでしか比べられないんですが、キャプテンが（篠山）竜青さんから（藤井）祐眞さんになっても、根本的なところは変わってないと思います。北さんや賢次さんが受け継いできたものがこのチームには根づいていると、少なくとも僕はそう感じます」

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