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「殺すぞ、死ね、が当たり前になっている」中日・福敬登が“入団時”から受け続けた中傷《被害届受理、投稿者の特定へ》
posted2021/12/03 11:04
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph by
JIJI PRESS
応援する側の期待に応えられなかったアスリートは「死ね」と言われても仕方ないのか――。議論されるまでもないはずのことが、今や日常と化している。
SNS上での過激な書き込みは、東京五輪でも問題となった。アスリートに限らず、芸能人がバッシングされ、さらに先日は秋篠宮さまが眞子さんの結婚に関する週刊誌報道、ネット上での誹謗中傷に言及され「許容できない」「基準作りが必要」と訴えられた。
なかには“殺害予告”も…被害届を提出した背景
中日の福敬登は立ち上がった。シーズン中に打たれた後など、自身のSNSに「おびただしい数のDMが来たこともあります」と打ち明ける。罵詈雑言の類いだけではなく「死ね」「殺す」という殺害予告が含まれていた。
愛知県警中署(名古屋市)に被害届を提出し、11月21日付で受理された。中傷は侮辱罪などに当たる可能性があり、刑事事件として投稿者の特定が進められることになった。またプロ野球選手会の顧問弁護士らとも相談し、民事訴訟の手続きも並行して進めている。
左腕の福は昨シーズン、最優秀中継ぎのタイトルを獲得するなど、切れ味鋭い投球でドラゴンズのブルペンを支えた。大切な試合の終盤を任されるため、抑えて当然と見られ、打たれれば手痛い逆転負けにつながることが多い。そういう意味では先発投手や野手よりもミスが目立つポジションだ。
「殺すぞ、死ね、が当たり前になっているんじゃないかと」
それに対して、福は「プロですから言われて当たり前。批判されるのは当たり前だとは思っています」と言い、こう続けた。
「度を超してはいけない。(投稿者の)言葉のハードルが少し低すぎるんじゃないかと思うんです。ましてや殺すぞ、死ね、が当たり前になっているんじゃないかと。それはもう、耐えられないです」