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「本当に立派な走りでした」コントレイルがジャパンCで有終の美…“男泣き”福永祐一が三冠馬と歩んだ「夢のような」2年間 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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photograph byKeiji Ishikawa

posted2021/11/29 12:20

「本当に立派な走りでした」コントレイルがジャパンCで有終の美…“男泣き”福永祐一が三冠馬と歩んだ「夢のような」2年間<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa

引退レースとなったジャパンカップにて優勝したコントレイルと福永祐一。

 1000m通過は1分2秒2。

 この遅い流れを嫌ってか、後方に控えていたキセキが外から一気に進出し、ハナを奪い切って3、4コーナーを回って行く。

 キセキが5、6馬身のリードを保ったまま最後の直線へ。

 ラスト400m付近でオーソリティが2番手に上がり、内のキセキに迫る。

 その外からシャフリヤールが伸びる。

 追い出しを待っていた福永は何度も手綱を持ち直し、コントレイルのエンジンを吹かすようにしてから左ステッキを入れ、ゴーサインを出した。

 コントレイルは豪快に末脚を伸ばし、内のシャフリヤールとの差を1完歩ごとにひろげてラスト200mを通過。先に抜け出したオーソリティをほとんど並ぶ間もなくかわし、鞭を右手に持ち替えた福永の最後の叱咤に応え、先頭でゴールを駆け抜けた。

 勝ちタイムは2分24秒7。上がり3ハロン33秒7はメンバー最速で、2番目に速かったグランドグローリーとユーバーレーベンよりコンマ5秒も速かった。圧巻の走りを、福永は言葉を詰まらせながら振り返った。

「今日で終わりだと思うと、いろいろ込み上げてくるものがありますが、本当に立派な走りをしてくれました。感動しました」

福永の重圧「三冠馬の名誉を守りたい」

 これがコントレイルにとって、今年初めての勝ち鞍だった。過去の7頭の三冠馬で、初代三冠馬のセントライトだけは菊花賞を最後に引退したが、ほかの6頭はみな、古馬になってからも勝ち鞍を挙げていた。三冠後に勝てなかった唯一の存在にしてはいけない、という重圧はいかほどのものだったか。

「秋初戦の天皇賞も素晴らしい出来だったのですが、勝つことができなかった。今度こそ何としても勝ちたいと思っていました。三冠馬の名誉を守りたい、という気持ちは強くありました」

 勝利を義務づけられていたこと以上に、大きな責任を感じていたことがあったという。

「次のキャリアに無事に送り出すことが一番重要な使命だと思っていました。直線では、馬を傷めないように、バランスを崩して馬体に悪い影響が出ないようにと、そこだけを考えていたので、あまり相手のことは見ていませんでした。コロナ禍のなか生まれた三冠馬ということで、鬱屈した世の中に光を差し込んでくれた馬だと思います。ダービーまで無観客で行われましたが、最後、お客さんの前で勇姿をお見せすることができて、心からよかったと思っています」

【次ページ】 本当のすごさは「種牡馬になって証明される」

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