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ヤクルト石川雅規41歳が見せた“大胆さ”が必要!? シリーズ初戦からオリックス投手陣に続く《呪縛》とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/11/25 12:10
6回を無失点に抑え、勝利投手となった石川。41歳10カ月での日本シリーズ勝利はセ・リーグ最年長記録
慎重には慎重を期すことが、逆に投手を苦しくしてしまう。例えば前日のバルガスの2つの四球も丁寧にコーナーを突こうとして、それが外れた結果、最後は明らかなボール球で歩かせている。そしてこの日の増井も第1打席に2試合連発の本塁打を放っているサンタナに対して低めを丁寧につこうとしてカウントを悪くし、最後はワンバウンドになるフォーク、明らかなボール球で四球を与えた。
オリックス投手陣の“慎重さ”の原因は?
その慎重さの背景にはもちろんシリーズの重圧もある。ただ、ヤクルト打線の圧力にオリックス投手陣が必要以上の警戒心を抱かされている。それが結果的には四球がらみの得点に繋がってしまっているのである。
すべてはシリーズ第1戦から始まっているような気がする。
オリックス先発の絶対エース・山本由伸投手にヤクルト打線は屈しなかった。6回で112球を投げさせ、攻略はできなかったが、それでも結果的にはマウンドから引きずり下ろした。
奪った安打はわずかに5本。山本から挙げた得点も1点でしかない。ただ、今季、パ・リーグでは投手5冠に輝き、6月4日から向かうところ敵なしの15連勝を飾ってきた無双の姿をオリックス投手陣はずっと見てきた。ロッテとのクライマックスシリーズ、ファイナルステージでも1対0の完封勝利でチームを日本シリーズに導く先導役を果たした。
山本由伸に対し、とにかくファウルで粘った
その絶対エースが初戦で、ヤクルトのプロ2年生右腕・奥川恭伸投手に実質的に敗れたのである。制球力よくポンポンとストライクを取りにくる奥川に対して、あっさりと凡打を繰り返したオリックス打線。一方の山本も同じようにストライク先行で勝負を挑んでいったが、ヤクルト打線はとにかくファウルで粘り、山本を追い込んでいった。
5回を終わった時点で山本の球数がすでに95球と100球目前まで到達していたのに対して、奥川はまだ71球だった。そして6回に2つの四球を足場にした1死一、二塁から6番・中村悠平捕手の中前タイムリーで先制点を奪われたのである。