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浅野拓磨のクイックネスが素晴らしすぎたボーフムの夜 献身的なフリーランニングで地元ファンの心も鷲掴みに
posted2021/11/08 17:03
text by
島崎英純Hidezumi Shimazaki
photograph by
Getty Images
ボーフムの中心街には静謐な空気が漂っていた
浅野拓磨を観に、ボーフムへ行きました。居住地のフランクフルトからボーフムまでは約240km。東京からなら西へ向かうと浜松、北へ向かうと福島といった距離感でしょうか。日本では車で約3時間かかると聞きますが、速度無制限区間があるドイツのアウトバーンを利用すると、約2時間40分で着いてしまいます。
ただし、アウトバーンは何処でも無制限というわけではありません。工事区間では80km制限になったり、曲線がきつい路面では120kmや100km制限になったりして、速度変更が頻繁。そうしたなかドイツの方々は総じてきっちりしていて、制限速度区間ではしっかり減速するものの、無制限区間に入ると200km近くでかっ飛んでいきます。
僕もそんなドイツ特有の流れに乗り、約2時間50分のドライブで目的地へ着きました。この日の試合は日曜日のナイターで、到着したのは15時過ぎ。薄曇りの空から時折陽光が注ぐボーフムの街は、しんと静まり返っていました。
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ヨーロッパでは定番の日曜夕方の雰囲気は嫌いではありません。キリスト教の安息日にあたるドイツの日曜日は、デパート、スーパー、各種ショップなどが軒並み休業で、特に中心街はほとんど人が歩いていません。
通りに面した建物で明かりが灯っているのは、ハンバーガーショップやケバブ屋などのファストフード店や幾つかのレストラン、バーのみで、市庁舎を中心にショッピングストリートが各方向へ伸びるボーフムの中心街には、静謐な空気が漂っていました。
湯気が立ち上る白い造りのスタジアム
ホテルに車を置き、ボーフムのホーム、ルールシュタディオンまで徒歩で向かいます。メディアである僕にはスタジアム脇の駐車スペースが用意されていたのですが、試合後の興奮が残るスタジアムでビールを飲みたくて、歩こうと思ったのです。
また、個人的に約13年ぶりにこのスタジアムへ訪れることもあって、スタジアムまでの道程を楽しみたいとも思っていました。
人っ子ひとり見当たらない中心街を抜けてスタジアムへ続く公道に出ると、VfLボーフムのクラブカラーである青いユニホームを纏ったサポーターたちの姿が目立ち始めました。道の角に建つインビス(ドイツ語で軽食スタンドの意)にはサポーターがたむろしていて、彼らがビール瓶を掲げて気勢を上げている姿は、ブンデスリーガのゲームが開催される街特有の光景です。
緩やかな傾斜が続く道の脇に建つ、この街自慢の近未来的なプラネタリウムを過ぎて丘の頂点に到達すると、その先には噴煙のように湯気が立ち上る白い造りのスタジアムが、凛とした姿で佇んでいました。