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《29年ぶり五輪8強》男子バレー超新星・高橋藍(19)は石川祐希と何が違う? 恩師も成長に驚き「あれはえぐい」 

text by

田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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photograph byTakahisa Hirano

posted2021/08/02 11:03

《29年ぶり五輪8強》男子バレー超新星・高橋藍(19)は石川祐希と何が違う? 恩師も成長に驚き「あれはえぐい」<Number Web> photograph by Takahisa Hirano

5月の中国戦では初めての国際舞台とは思えない躍動を見せていた高橋藍(中央)。その期待通り、東京五輪の舞台でも大きな飛躍を遂げる予感を漂わせている

 2012年から17年まで中央大学で指揮を執った松永コーチは、東山高の外部指導者として月1〜2度指導に当たり、高橋が3年生となった19年に東山高のコーチに正式就任。高校生と大学生、もちろん強度は異なるが、ボール練習やトレーニング、中大で実際に行ってきた指導をベースに東山高に落とし込んできた。

 たとえば前述のブロックに対峙した場面でのクロス、インナーへの打ち方や、チャンスボールからの攻撃展開。特に重視したのが後衛時、バックセンターに入ることが多い高橋が、レシーブしてからも攻撃に参加する意識を高めることだった、と松永コーチは言う。

「最初はレシーブした後は(攻撃に)入らなかったんです。でもそれでは攻撃枚数が減るし、バックアタックは必殺技ではなく、入れるなら常に入る攻撃オプションの1つとして考えないと上のレベルでは戦えない。チャンスボールを取った後、藍がバックにいる時もセッターに上げさせ、とにかく攻撃へ入らせる意識をつけました。

 2年生になった頃には常にバックアタックへ入るのが習慣化され、自分から新しいことにチャレンジしたいと求めてきた。『ビック(後衛バックセンターから前衛の選手と同時に入るバックアタック)ってどう打つんですか?』とか、『この練習は石川(祐希)さんもやっていたんですか?』と事あるごとに聞いてくるようになりました」

 同じアウトサイドヒッターで、自身も「いずれは海外でプレーしたい」と望む高橋にとって、石川祐希は常に手本であり、いわばこれ以上ない“教科書”。松永コーチが続ける。

高橋にある再現力とは?

「石川と藍は似たタイプか?と何度か聞かれたことがあるのですが、僕の見方は違います。感覚やイメージを自ら体現できるのが石川で、藍は説明書や設計図を見ながらそれを忠実に再現して、そこから自分のイメージを膨らませていく。高校時代から石川と同じ練習、トレーニングをして、大学や日本代表でさらにたくさんの知識や、自分よりもっとすごい選手たちを間近に見て対峙する。今は彼にとって最高の教科書が揃った環境で、インプットしてきたものが一気に解放されている。藍にとっては吸収することしかないだろうし、日本代表を見ても石川が入ればまた別のバリエーションも生まれる。面白いですよね」

【次ページ】 芽生える日本代表としての自覚

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