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「私、もうここにいなくていいな」里村明衣子が語ったイギリス移住と“仙女”への思い…7.11後楽園で橋本千紘が流した涙の意味とは
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2021/08/01 11:00
“女子プロレス界の名門”センダイガールズプロレスリングの創設者・代表でもあり、現在はNXT UKでも活躍を続ける里村明衣子
“里村のいない仙女”初のビッグマッチ
7月11日、仙女は後楽園ホール大会を開催。“里村のいない仙女”として初のビッグマッチだ。
セミファイナルは岩田美香&愛海vs響&アンドラス宮城。かつてカサンドラ宮城の名で仙女に所属していた宮城が、フリーになって乗り込んできた。反則を連発する宮城と響に対し、正攻法の仙女組。典型的なベビーフェイスとヒールの闘いで、そのベースには仙女を去った宮城のドラマもある。
メインイベントはシングル王座センダイガールズワールドチャンピオンシップの選手権試合。王者・橋本千紘がマーベラスの桃野美桜を下して久々の防衛戦を制した。
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2014年デビューの宮城、2015年デビューの岩田と橋本の世代は(橋本は中学時代にも入門テストを受けていたものの)、里村がスカウト活動を展開し「入門してもらって」、一から育てたという。仙女に限らず“女子プロレスラーになってもらう”ためのアピール、スカウティングはブームが去った業界にとって大きなテーマだった。
「実際、大変すぎました。将来有望というわけでもない一般の学生を、お金と労力をかけてスカウトする。なんでこちらから入門をお願いしてるんだろう、という疑問がずっとありました。やはり、スターレスラーに憧れて、レスラーになりたくて入門テストを受けるのが本来の形ですから」
「昔は恋愛がタブーの世界でしたが、今はオープンでいい」
3年前から、スカウトは一切やめた。それでも入門志願者は増えた。橋本、岩田に憧れてレスラーを目指す若者が出てきたのだ。
選手育成を「とても大きな要素」だという里村。自分の経験をそのまま今の選手に当てはめようとはしない。