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「私、もうここにいなくていいな」里村明衣子が語ったイギリス移住と“仙女”への思い…7.11後楽園で橋本千紘が流した涙の意味とは 

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橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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photograph byEssei Hara

posted2021/08/01 11:00

「私、もうここにいなくていいな」里村明衣子が語ったイギリス移住と“仙女”への思い…7.11後楽園で橋本千紘が流した涙の意味とは<Number Web> photograph by Essei Hara

“女子プロレス界の名門”センダイガールズプロレスリングの創設者・代表でもあり、現在はNXT UKでも活躍を続ける里村明衣子

橋本「センダイガールズをトップの団体にしたい」

 橋本にとっては会心の勝利、手応えのあるメインイベントでありタイトル防衛だったはずだ。にもかかわらず、彼女はマイクを握ると涙をこぼした。

「この状況が悔しい。プロレスのことだけを考えられる環境にいるのに、それに伴った集客が自分がメインではできていない。里村さんがいなくて(DASH・)チサコさんが欠場中で、自分が引っ張らなきゃいけないのに......」

 確かに、この日は満員になっていなかった。それは仙女に限った話ではない。今、後楽園ホールでチケットを完売できるプロレス団体はごくわずか。やはりコロナ禍で消費や外出に関するマインドが落ち込んでいるのだろう。だが普段は東京にいない橋本にしてみると、ソーシャルディスタンスを確保した“間引き”客席が満員にならない光景は「半分も埋まっていない」異様なものに映るのだ。

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 インタビュースペースでも、橋本は悔しさと決意を語った。

「どれだけいい試合をしても、見ている人が少なければ注目度は低いので。団体15周年で自分がチャンピオンなのは誇らしいんですけど、それだけではただの自己満足。強いだけでは女子プロレス界のトップにはなれない。私はセンダイガールズをトップの団体にしたい。

 里村さんがいない、チサコさんがいない、コロナ禍だから。それは言い訳にしたくないです。自分が引っ張らなきゃいけないんですけど、今は試合をするだけになってしまっている」

 情報発信も含め“里村明衣子の仙女”から“橋本千紘の仙女”に変えなくてはいけない。大会前、里村がかけた言葉がその思いに拍車をかけた。

「橋本が強いことはみんな分かってる。体調万全なことも知ってる。そこで勝って雄叫びをあげて興行を締めるのは想定内。そこに共感するのは橋本のファンだけ。橋本の本音はどうなの? 会場全員の心をもっと揺さぶってほしい」

 ああしろ、こうしろとは言わない。橋本に考えさせるための言葉だった。橋本はそれをストレートに受け止め、考えて、そして悔しさに涙した。レスリングの強豪がプロ入りし、里村からベルトを奪ったのを皮切りに5度の戴冠。女子プロレス新世代のトップランナーの1人と目され、そしてここにきて“強さ”だけでは勝てないものがあると知った。そのことで、彼女のレスラーとしてのスケールはさらに大きくなるだろう。

【次ページ】 女子プロレス界を牽引する里村の「ゴール」とは

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