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“内村のいない”体操日本代表は世界の頂点にどう近づいた? 1年前に「3番手」と評された“平均21.5歳の4人”の急成長
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2021/07/27 17:03
男子体操団体で銀メダルに輝いた日本代表。この一年間で大きく成長したチームは世界の頂点に限りなく近づいていた
1年前なら「3番手」評価もあった日本が急成長
日本チームには、リオデジャネイロ五輪からの連覇を期待する声があった。だが、ただちに「敗れた」と言うのには、どこか違和感を覚える。
1年前であれば、日本は「3番手」という評価もあった。実際、2018、2019年の世界選手権団体総合はともに3位に終わっている。だからROCと中国にどう食らいついていくかがテーマとしてあった。そこから1年延期になった時間の中で、選手それぞれに地力を上げ、全体としても底上げされてきた。
その中で、来月に20歳の誕生日を迎える橋本がエースと呼ばれるまでになり、18歳の北園も成長を遂げた。それに負けじと、ここ数年日本代表の中心となってきた萱、谷川もレベルアップを図ってきた。
全員初出場、平均年齢は21.5歳
今大会の日本代表4名は全員が初めてのオリンピック出場で、平均年齢は21.5歳。代表5名が出場できたリオデジャネイロ大会では、初出場は19歳の白井健三のみ。3大会目だった内村航平のほか、加藤凌平、田中佑典、山室光史はロンドンに続く2回目の出場だった。その5人の平均年齢が24.2歳であったことを考えても、フレッシュなメンバーと言っていい今大会の選手たちは、持ち味をいかし、チームに貢献した。
ゆかで最初に登場した北園の好発進もそうだし、跳馬で中国が高得点を続けるのを向こうに、谷川がまったく乱れのない着地で踏みとどまった。平行棒では萱が15.000点を叩き出し、いい流れを作った。
近年の地位から這い上がって優勝という目標を現実にできるところにたどり着き、初めての大舞台で力を発揮してあと一歩に迫った。
対するROC、中国も強豪ならではというところを見せて、崩れなかった。その結果としての銀メダルだった。