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“内村のいない”体操日本代表は世界の頂点にどう近づいた? 1年前に「3番手」と評された“平均21.5歳の4人”の急成長

posted2021/07/27 17:03

 
“内村のいない”体操日本代表は世界の頂点にどう近づいた? 1年前に「3番手」と評された“平均21.5歳の4人”の急成長<Number Web> photograph by Ryosuke Menju/JMPA

男子体操団体で銀メダルに輝いた日本代表。この一年間で大きく成長したチームは世界の頂点に限りなく近づいていた

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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Ryosuke Menju/JMPA

 のちにまで記憶されるであろう好勝負だった。

 7月26日、男子体操団体総合決勝が行なわれ、最終結果は1位が262.500点のROC(ロシアオリンピック委員会)、2位が262.397点の日本、3位は261.894点の中国。ROCと日本の差はわずかに0.103点。中国を含めた3強の、まさに激闘だった。

 日本は中国とともに回るローテーション。ゆかからスタート。北園丈琉と橋本大輝、谷川航が出場した日本は3人がそろって高得点をマークし順調な滑り出しを見せる。

 続くあん馬、つり輪も失敗はなく進み、3種目を終えて2位と好位置につけた。だがROCと中国も乱れない。4種目を終えたところでROCがトップに立ち、中国が2位に上がって日本はROCとの差が3点強の3位となる。

 だが日本も譲らない。5種目めの平行棒で萱和磨、北園、谷川がレベルの高い演技を見せ、順位は変わらなかったがROCとの差を約1.3点に縮める。

ROCと日本、最後までどう転ぶか分からない接戦

 最終種目の鉄棒。逆転のためにはミスは許されないプレッシャーの中、萱がガッツポーズを見せる会心の演技をすれば、北園はG難度のカッシーナなどをきちんと決める。締めくくりは橋本。離れ技をすべて成功させ、着地もぶれずしっかり決める。日本チームが喜び、橋本も思わず叫んだ演技は15.100点。中国を抜いて終えた。

 日本そして中国の選手はまだ終わっていないROCのゆかを見守る。最初の2人はラインオーバーのミスをしていた。最後はニキータ・ナゴルニー。1つでもミスをすれば優勝は日本に転がる、いや、ミスしなくてもROCが2位に落ちる可能性のある僅差の中、ナゴルニーは2019年世界選手権個人総合覇者たる姿を見せた。

 自身の名前のついた技を持つほどゆかを得意とするナゴルニーは、ミスをしなかった。しかも、2回ひねりを3回ひねりに変えて構成難度を上げたうえで、ミスをしなかった。得点はゆかでは全選手中最高点の14.666点。ROCの選手は歓喜で崩れ落ち、日本の選手の目には涙が浮かんだ。その光景からも、最後までどう転ぶか分からない接戦であったことが伝わった。

【次ページ】 1年前なら「3番手」評価もあった日本が急成長

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