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Jをめぐる冒険BACK NUMBER
堂安律が賭けた『どこだよ、そのクラブ』への“あえて遠回り”「行ってよかったねと言わせたのは自分なので」《東京五輪》
posted2021/07/17 06:00
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph by
Ryo Kubota
6月12日のジャマイカ戦終了後、オフをとった堂安律は、例年とは異なる過ごし方をした。
「僕はジッとしていないタイプなので、いつもなら身体を少しは動かすんですけど、さすがに今回ばかりは……」
ドイツのブンデスリーガでフルシーズン戦い、ほとんど休みのないまま五輪代表の6月シリーズに突入した。さらに、7月5日から東京五輪の直前合宿が控えていた。
「『プロとして、しっかり休むべきだ』と自分に言い聞かせて、ゆっくりしました。昨日から身体を動かし始めたんですけど、解放された感じで、気持ち良くトレーニングできています」
約2週間のオフを終え、合宿に向けた自主練習をスタートさせた6月25日の翌日、すっきりした表情で堂安は語った。
“4人目”のオーバーエイジ
U-24ガーナ代表、ジャマイカ代表と対戦した6月シリーズで堂安は、五輪代表に欠かせぬ存在であることを改めて証明してみせた。
右サイドに入った堂安はトップ下の久保建英と巧みにポジションを入れ替えながらゴール前に侵入し、ガーナ戦では先制ゴールと相馬勇紀のゴールのアシストを、ジャマイカ戦でもゴールを決めたのだ。
ガーナ戦を終えたあと、本格合流したオーバーエイジの吉田麻也、酒井宏樹、遠藤航の3人について「頼もしすぎた」と語ったが、いやいや、どうして。
五輪代表でプレーするのは19年11月のU-22コロンビア代表戦以来2度目のことだったから、オーバーエイジを迎える側ではなく、堂安自身も加わる側だった。いわば4人目のオーバーエイジのような存在としてチームに合流し、期待に違わぬ活躍を見せたのである。
「僕や冨安(健洋)はA代表をかなり経験させてもらっていて、森保(一)さん、横内(昭展)さんのコンセプトを理解しています。最後にチームに加わった以上、違いを見せないといけない。そうした責任や重圧はありましたね。でも、変なストレスはなく、見ていただいたら分かるように、気負ったプレーはほとんどなかったと思います。周りをうまく使いながら、でも、仕掛けるべきところは仕掛けて。ギラギラした気持ちでピッチに入りましたけど、自分の心をうまくコントロールできていたんじゃないかなと思います」
なぜ、メンタルをしっかりコントロールできたのか――。
その理由として堂安が真っ先に挙げたのが、直前の2020-21シーズンの充実である。