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ハンカチ世代の監督が高校野球界に新風?「投手が一番伸びる」“餅は餅屋”の発想とは <前橋育英・健大高崎・桐生第一の牙城を崩すか>

posted2021/07/15 11:02

 
ハンカチ世代の監督が高校野球界に新風?「投手が一番伸びる」“餅は餅屋”の発想とは <前橋育英・健大高崎・桐生第一の牙城を崩すか><Number Web> photograph by Yu Takagi

北川トレーナー(左から3番目)のジムに出向く関東学園大附の羽鳥監督と石原、篠原両投手

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高木遊Yu Takagi

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 高校野球の監督といえば、かつてはチームの走攻守すべての部分のみならず、精神面の指導も任された「全権監督」が主流だった。

 しかし、「言い方に語弊はあるかもしれませんが、餅は餅屋です」と話すのは関東学園大学附属高校(群馬県)の羽鳥達郎監督だ。

 自身の経験論だけに縛られず、外部の指導者の知見を存分に取り入れることで、35年ぶりの甲子園出場も視界に入るまでに躍進を見せている。

 羽鳥監督は1988年生まれの現在32歳。現役時代は捕手として埼玉県立の伊奈学園総合高から高校でプレー。その後、一浪を経て早稲田大に入学。1学年上(同い年)には斎藤佑樹(日本ハム)らプロに行く投手が3名おり、さらに3学年下には有原航平(レンジャーズ)もいた。後にプロの道へ進む彼らからブルペン捕手として信頼を掴むと、4年時には就任した岡村猛監督から、その泥臭い姿勢を買われ、代打として早慶戦など6試合に出場した。

 ちょうどその頃、関東学園大附から早稲田大に「教員志望の適任者がいないか」との相談があった。もともと教員志望だった羽鳥は迷わず手を挙げて、新卒で赴任。その年の秋から野球部の監督に就任した。

 館林市にある同校は1986年にセンバツ甲子園に出場、OBに岡島豪郎(楽天)らがいるが、羽鳥監督が就任した当時はチームは低迷しており、生活指導に手を焼く部員が多かったという。だが選手たちの心情の理解に努めながら、強豪校に飛び込んで練習試合を組むなど積極的に働きかけをしたことで徐々に強化が実り、部員たちの意識も自然と高くなっていった。

 そして赴任10年目となった今春は群馬大会を制すなど目に見える結果も掴み、2013年以降、前橋育英・健大高崎・桐生第一の“3強”によって占められている牙城を崩す存在として注目されている。

【次ページ】 投手力は関東大会でも実証済み

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