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松井秀喜と大谷翔平の“ケタ外れな長打力”だからこそ… 「30年で2人」しか成し遂げなかった東京ドームでの“偉業”とは
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byHideki Sugiyama
posted2021/06/12 11:00
完成前の東京ドームを見て、長嶋茂雄は「天井にボールをぶつけることは無理だろう」とコメントしていたという。
大谷の推定飛距離は160メートル!!
侍ジャパンのオランダとの強化試合。7回に代打で登場した大谷が放った大飛球が、再びグラウンドに落ちてくることはなかった。
フィールドで守っているオランダの選手やスタンドのファンが唖然とドームの天井を見上げる中で、当の本人はしっかりと打球の行方をその目で確認していたのだという。
「見ていましたよ。入ったところはインフィールド。おそらく二塁打だと思いました」
冷静にボールが天井の二重幕の隙間に吸い込まれていくところも見ていた。
推定飛距離は160メートル。それでも大谷の語るように、東京ドームの特別ルールで判定は二塁打だった。
30年の東京ドームの歴史で2人だけ
30年の東京ドームの歴史で、ボールを消したのはこの2人だけである。
ご存知のように松井はこの後に巨人からニューヨーク・ヤンキースに移籍。メジャーでも175本の本塁打を放って、日米通算507本塁打を記録した。
「打った瞬間に天井に当たるかなと思ったけど、本当に打球が消えた感じだった。隙間にはまっていなかったら、確実にホームランだったと思うよ。でも、東京ドームで初めてのことだったからね。何事も初めてというのはいいんじゃない」
後にこの一打のことを聞いたときに、松井はこう感想をもらしていた。もし、あの一打が天井に吸い込まれずに本塁打となっていれば、記録はもう1本加算されていたことになるが、松井の言葉にその1本を惜しんでいる気配はなかった。
それより記録と記憶に残した本当に「消える打球」に、むしろ誇りをもっている。そんなニュアンスだったのを覚えている。
そして大谷もまた、今季からロサンゼルス・エンゼルスに移籍し、規格外の“二刀流”で米球界の話題をさらう注目を集めている。