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“宮本恒靖の監督解任”でも勝てない……G大阪の危機は「クルピ監督就任」から始まったのかもしれない
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byGetty Images
posted2021/05/24 17:03
22日のFC東京戦を0-1で落とし、19位に転落したガンバ大阪
ボールを握ってはいるが、畳みかけるような攻撃ができない。クロスを入れても中に入っていく選手が少ないので、中央を固めたFC東京の守備陣に軽々と跳ね返されていた。空中戦が不利となると地上戦でパスを繋いで攻めるがテンポが変わらず、待ち受けている相手に引っかかり、カウンターを何度も喰らった。相手のミスに助けられたが、もう2、3点失ってもおかしくないほど危うかった。
うまくいかない、勝てない状態だからチームの雰囲気は悪くなる。
右足首の故障から復帰し、途中出場した小野瀬康介は「バラバラになっている」と危機感を感じたという。
「外からは、失点に絡んだ選手が自信をなくしていて、チームが良くない方向に行っていると思って見てましたし、実際に中でプレーしてみると自信を持ってやれていない」
三浦弦太もネガティブな流れに振れているところがあると感じている。
「なかなか点が取れず、勝ち星も取れず、選手もチームも苦しい時期ですけど、選手間では『要求していこう』という話をしています。それが文句というかネガティブに進んでいくのはよくない。全部が全部そういうわけじゃないですけど、そういうシーンがあったり、元気がないのも良くないところです」
チームが極度の不振に陥ると信頼関係が薄れ、自分が望むことばかり要求し、衝突しがちになる。イライラして、ストレスを感じながらプレーしているので、相手のことを考える余裕もない。ガンバにゴール前で連係やダイレクトで崩していくシーンが少なかったり、クロスが入っても反応する選手が少ないのは、そういうところにも原因があるように見える。
今、ガンバに「必要なもの」は何か
こういう緊急時はどうしたらいいのか。
これからは試合がつづくので多くのことを詰め込むことはできない。何か新しいことに取り組むにしても時間がない。であれば、「これだけは」という約束事を1つ決めて、それを全員で守ってプレーしてみるのはどうだろうか。
ジーコ日本代表監督時には、我の強い選手ばかり集まり、それぞれのサッカー観をベースにプレーするばかりで、まとまらない時期があった。その時、キャプテンだった宮本は、「球際の激しさ」をまず全員で意識してプレーしていこうと決めたという。バラバラの意識を“1つのこと”に集中させることで統一感をもたせたのだ。