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「だめですよね、選手として」…五輪3大会出場、33歳目前の福島千里が挑む東京五輪2つの壁

posted2021/05/23 06:00

 
「だめですよね、選手として」…五輪3大会出場、33歳目前の福島千里が挑む東京五輪2つの壁<Number Web> photograph by AFLO

15日の東日本実業団選手権100mの決勝後、「向かい風を考慮しても、トップスピードが絶対的に遅い」「自分が情けない」と悔しさをにじませた

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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 5月15日、埼玉県熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で陸上の東日本実業団選手権100mが行なわれた。

 注目を集めたのは福島千里。決勝では向かい風1.8mの条件のもと、12秒33で5位という結果を残した。

 自身のキャリアからして、そして現在置かれている状況からして、望ましいタイムと成績ではなかった。

 彼女の女子短距離界における第一人者としてのキャリアは、誰もが知るところだろう。中学、高校時代から全国大会に出場していた福島が注目を集めたのは2008年、北京五輪シーズンのこと。100mで日本タイ記録を出すなどの活躍で、実に56年ぶりに陸上女子100mの五輪代表に選出された。

 2009年に100、200m双方で日本新記録を出すと2010年に更新。

 日本選手権100mでは2016年まで7連覇、200mは6連覇を達成。オリンピックには、北京のあと、2012年のロンドン、2016年のリオデジャネイロには100、200mで代表となった。リオの100mは故障の影響で欠場となったが100mでの3大会連続代表選出は女子初のことであった。

 200mのみ出場したリオでは、同レースで予選敗退。自身初の予選通過とはならなかった。

「結果にこだわりたいと言っていた分、かなわなかったのが満足いかないです。二度あることは三度あるのでしょうか」

 走り終えたあとに失意を言葉にした。今後への問いかけに対し、その時は明言しなかったが、同年秋に現役続行を表明した。

パフォーマンスが上がらない要因

 2017年1月、「このままではいけない」と環境の変化などを求めて所属していた北海道ハイテクACを退団。その1年後には山縣亮太のいるセイコーに入社し、結果にこだわるべく取り組んできた。

 ただ、近年は思うような走りができないシーズンが続いた。2017年の日本選手権で100、200mともに優勝を逃し連覇が途絶えた。2018年は200mこそ優勝したものの100mは2位になり、2019年はアキレス腱炎で欠場。コロナによって10月開催となった昨年は、100m、200mのいずれも参加するのに必要なタイムを出せていなかったことから出場できずに終わった。

「日本一を決める大会の土俵にすら上がれない……。ちょっと考えられない。だめですよね、選手として」

 無念の思いをそのまま言葉にした。

 パフォーマンスが上がらない大きな要因となっているのは、先のアキレス腱炎など、しばしば発した故障にある。それがために、考えていたトレーニングを積み重ねられず、大会にピークを合わせられなかった。

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