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【8試合連続無失点】カープ大道温貴はなぜあんなに腕を振れるのか? 本人が明かす「栗林さん」やコーチの言葉とは
posted2021/04/21 17:04
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph by
Sankei Shimbun
攻めの姿勢が自軍に流れを引き寄せた。
4月18日、中日戦。敵地のマウンドに上がった広島東洋カープのルーキー・大道温貴は、1点ビハインドの7回裏、いつものように捕手・會澤翼のサインに頷いて、右腕をめいっぱい振り切った。
先頭の根尾昂には、初球の149キロのストレートでファールを奪うと、スライダー、スプリットの変化球でカウントを整えてから、最後はインコース高めのストレートで空振り三振。続く代打・滝野要には全球ストレートの力勝負を挑み、センターフライに打ち取り、さらには前回の対戦で中前安打を打たれている大島洋平に対しても、怯むことなくゾーンで勝負して、3球目の変化球でレフトフライを打たせた。
躍動感があるワインドアップの投球フォームから繰り出されるストレートは最速150キロ。球速以上のスピードを感じさせるその球は、キャッチャーミットにスーッと吸い込まれる。内外角の両サイドをきっちり突くというよりも、ワイルドにストライクゾーンにめがけて渾身のボールを投げ込む。その姿はコロナ禍のモヤモヤを吹き飛ばすほどの“爽快感”に溢れ、見る者に一服の清涼剤となっている。
4月20日のヤクルト戦でも好投し、これで8試合連続無失点。中継ぎでの起用ながら、はやくも2勝を挙げ、同じルーキーの栗林良吏、森浦大輔らと共にカープの勝利パターンを形成。2018年を最後にリーグ優勝を逃しているカープの救世主になれるかーー早くも、そんな声さえも聞こえてくる。
女性ファンもツウも唸るピッチング
涼しげで端正な顔立ちは、少女漫画から飛び出したヒロインの相手役を思わせるが、一転、マウンドに上がれば闘争心をむき出しにして相手打者に立ち向かう。その姿はカープ女子のみならず、ファン歴ウン十年のツウたちのハートもキュンキュンさせているようだ。
そんな状況はいざ知らず、大道は現在、自身がマウンドに立つ心境を次のように語る。