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ついに坊主撤廃・スマホ解禁…それでも名門・国見が継承する伝統とは 【大久保嘉人は何と言った?】 

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安藤隆人

安藤隆人Takahito Ando

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posted2021/04/15 11:03

ついに坊主撤廃・スマホ解禁…それでも名門・国見が継承する伝統とは 【大久保嘉人は何と言った?】<Number Web> photograph by Takahito Ando

長崎・国見高校を率いる木藤健太監督。14年ぶりに九州新人大会で優勝するなど、目に見える成果も手にしている

 木藤監督は当然、反発も覚悟した。しかし、周囲の反応は意外なものだった。木藤監督の9歳年上で、国見OBでもある内田利広総監督は「私自身もずっと疑問に思っていましたが、応援してくれる街の人たちの想いや高校サッカー界におけるイメージなどを考えると、なかなか踏み切るのは難しかった。木藤監督が強い意志と自信を持って臨んでくれているので、我々はそれを全力でサポートしようと思っています」と賛同。国見の黎明期の象徴となった高木琢也からも「現場が思うようにしろ。気にするな」という後押しをもらった。

 そして後輩・大久保はこんなことを言っていたという。

「正直、自分が選手の時も丸刈りは『古いな』と思っていた。それが未だに携帯禁止とか丸刈りでやっているのかと。今の時代、『丸刈りだから国見に行かない』という選手も多くいるだろうし、ようやく時代について来たか」

 徳永悠平や徳重健太(V・ファーレン長崎)ら名だたるOBたちも「ようやく変わった」と声を揃えていた。

新1年生にも“意味”を伝える

 “新生”国見は木藤監督のもと、ポゼッションやビルドアップからの崩すサッカーを目指している。しかし、その根底にあるのは脈々と受け継いできた「球際の戦いで上回る」「正確にトラップやキックをする」「ハードワークを厭わずに相手に走り勝つ」という伝統だ。そして「地域の人たちから応援されるチームであること」。それは国見のユニフォームを身にまとう責任でもある。

 その変革の効果は髪型だけでなく、少しずつ目に見える形で現れ始めている。

 昨季は13年ぶりとなる“高卒Jリーガー”が誕生。FW中島大嘉が北海道コンサドーレ札幌に加入した(ちなみに彼は丸坊主がトレードマーク)。今季は九州新人大会を14年ぶりに制して九州王者に輝いた。

「髪を伸ばせるようになっても、ルールを守らなくなってしまっては意味がないし、逆に国見という伝統が崩れてしまうと思う。自由にしたからこそ、責任があるので、新1年生たちにもきちんとその意味を説明して、それが受け継がれていくようにしたいと思います」(緒方)

 ユニフォームの雰囲気は少し変わった。それでも黄と青の縦縞は変わらない。伝統を継承するための「変革」。国見は覚悟の一歩を踏み出した。

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