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大阪杯は競馬史に残る名勝負に? コントレイルの“現役最強証明”か、グランアレグリア“三階級制覇”か
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byPhotostud
posted2021/04/03 17:03
無敗三冠馬として臨んだ昨年のジャパンカップでアーモンドアイ(左)の2着となったコントレイル。いまだ負けはこの一戦のみだ
グランアレグリア、史上初の「三階級制覇」へ
昨年、安田記念、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップを圧勝し、スプリントとマイルの「二階級制覇」を果たしたグランアレグリア(牝5歳、父ディープインパクト、美浦・藤沢和雄厩舎)は、ここで史上初の「三階級制覇」を目指す。
少しハードルを下げ、すべてGIではなくても、GIIやGIIIを含めて三階級(もしくはそれ以上の階級)を制覇した馬はいるだろうか。筆者の知る限り、1984年のグレード制導入以降では、1989年の安田記念、1990年のGII高松宮杯(2000m)、同年のスプリンターズステークスを勝ったバンブーメモリーくらいである。
それに近いのは、1988年のGII京成杯3歳ステークス(1400m)、1989年の皐月賞、1990年のGIIIステイヤーズステークス(3600m)を勝ったドクタースパートか。この馬は中央入りする前、地方の重賞である北海道3歳優駿(ダート1200m)と、ダート900mの未勝利戦も勝っている。
実績が示しているように、バンブーメモリーもドクタースパートも、ものすごく強い馬だった。
スプリントGIを勝つような超スピード馬が、2000m以上のGIを勝ち切るスタミナを持っていることは稀だ。同様に、折り合って脚を溜めることが求められる2000m以上のGIを勝つような馬が、スプリントGIの激流のなかで力を出し切るのも難しい。
アーモンドアイを2馬身半突き放した破壊力
このように、「超」をいくつつけても足りないほどの難関を、この馬ならクリアしてしまうのではないかと思わせるパフォーマンスを、グランアレグリアは見せてきた。
安田記念では、あのアーモンドアイを2馬身半突き放した。ラスト200mを切ってようやく前が開いたマイルチャンピオンシップでは、加速している途中でゴールが来た。
いわゆる「マイラー」の枠を超越した存在であることは間違いない。
そう信じているからこそ、藤沢調教師は距離を延ばして使ってきたのだろうし、この中間は、他馬に抜かれても我慢する調教を繰り返し、中距離仕様の走りを教え込んでいる。
頭がよくて、強い馬は、そうした人間の思いを理解し、応えようとする。
スプリント戦やマイル戦で発揮してきた破壊力を、この距離でも見せつけられる覚悟を固めておくべきかもしれない。