すべて「車」に関係している

　ウッズの半生を振り返れば、メジャー15勝を含む通算82勝という快挙が成し遂げられた一方で、過去には世界を震撼させる出来事が2度も起こり、今回は3度目となった。その3度の出来事のすべてに「車」が関係していることは、これまた不思議である。

　1度目は2009年11月27日。サンクスギビング・ホリデーの夜明け前の午前2時30分。当時のウッズの自宅があったフロリダ州オーランド近郊の高級住宅街アイルワースで、ウッズが運転していた車が消火栓に衝突した。ちなみに、あのときの車はキャデラックのエスカレードというSUVだった。

　ウッズはすぐに救急搬送されたが、幸い唇を少し切った程度の軽傷であることが確認され、数時間後にすぐに退院した。

　だが、あの小さな交通事故が発端となって、ウッズの「恋人」を名乗る女性が次々に登場し、未曽有の不倫騒動へと発展していった出来事は今なお記憶に新しい。

　そこまでの経緯に「奇跡」を感じさせるものは見当たらなかったが、社会的、倫理的な意味でのウッズの選手生命が「これで終わった」と見る向きは多かった。だが、ウッズは這い上がり、戦線復帰し、そして見事に復活した。あのときのウッズの「奇跡」は、そういう「奇跡」だった。

痛み止めを服用して酩酊状態に

　2度目は2017年5月29日、午前3時ごろだった。フロリダ州ジュピターの自宅近くの路上で、ハザードランプを出したまま停止している高級車が1台。その車内で朦朧として座っていたウッズは、DUI（アルコールまたは薬物の影響下で運転）と見なされ、その場で逮捕された。

　ちなみに、あのときの車はメルセデスベンツだった。車両のサイドボディは左右ともデコボコになっており、あちらこちらの壁や柱にぶつけたり擦ったりしたと見られる傷が無数に付いていた。腰の手術後に処方されていた痛み止めの薬をめちゃくちゃに飲んでしまったウッズは、その薬の影響で酩酊状態になり、ベンツの横っ腹を方々にぶつけながら運転していたのだ。

　しかし、それでも大事故に至らなかったこと、誰かを巻き込んだり傷つけたりしなかったこと、路上に停止しているところを発見されたことは、最終的には逮捕に至ったとはいえ、まさに「奇跡」だった。

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