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「お前はロナウドを知っているか?」“待たず”に守るJ1仙台シマオ・マテの原点にある名将ケイロスの言葉
posted2021/01/21 17:01
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
Kiichi Matsumoto
牛タンが、お気に入りだそうですね?
「イエーース!」
もう、この太陽みたいな笑顔を見ただけで、シマオ・マテがベガルタ仙台の仲間とファンから愛され、来日わずか2年目でキャプテンマークを託された理由がわかる気がする。
「ヨーロッパにいる頃から、日本食が大好きで。仙台に来てからは、いつでも日本食が食べられるからすごく嬉しいんです。牛タンは、初めて食べたときからすごくおいしかった。実はひと口食べた後に、『これは牛の舌なんだよ』と教えられて、2口目はちょっとだけ躊躇したんですけどね(笑)」
モザンビークに生まれた守備の達人は、2007年に19歳でギリシャの名門パナシナイコスへ加入し、5シーズンを過ごした。そこで「日本に行くことが夢」とまで語るイタリア人妻と出会い、30歳で妻の夢を叶えた。
日本語で『待て』という意味らしいですね
マテ。その名前と裏腹に、彼の最大の魅力は“待たない”ことだ。自分がマークする相手に、時間と空間を与えない。縦パスが送られれば、がつんと体を寄せて、ボールと敵の隙間に足を潜り込ませる。
身長は180cm。センターバックとしては決して長身ではないが、空中戦でも判断に“待ち時間”はなし。ヘディング自慢のストライカーよりも一足先に落下地点を見極め、しなやかなジャンプでボールを頭にヒットさせる。
このハードな守備を武器に、2019年にはJリーグ優秀選手賞を受賞した。
「マテは、wait。日本語で『待て』という意味らしいですね(笑)。私がこういう“待たない”守備スタイルになったのは、ヨーロッパに行ってからです。いつも相手を待ち構えているだけでは、良い守備はできない。自分からアクションを起こすことの大切さを、徹底的に教え込まれました。
なぜならヨーロッパのストライカーは、僕よりも背が高い選手たちばかりです。特にズラタン・イブラヒモビッチ選手やクリスティアーノ・ロナウド選手とのマッチアップは、印象的でした。2人は高いうえに、強くて、速くて、うまい。彼らのような選手に対抗するためには何をすべきかを考え続けた結果が、現在のプレースタイルです」