「でも、僕のなかで……実はもう1個あるんですよね」

　9月6日　オリックス戦　1回に張奕からタイムリー

「打ったのはフォーク。DHでなかなか出ることがないので、正直どう挑めばいいかわからないです。最近、調子が上がってこないので吉持に電話したんですが、『あまり考えすぎるな』と言われました。吉持打法です」（真顔で）

　選考理由＝やっぱり、吉持（亮汰）と話すと笑えるから

「吉持には、野球以外の話をしたい時に電話とかメールすることが多いんです。あいつ、僕にはふざけるんで（笑）、ぶっ飛んだ話を聞けるとメンタル的に楽になるんです。そういうのが欲しい時があるんですよ。心の底から笑いたい時があるんです。なんで、僕にとって吉持は重要人物なんです。いつもありがとう！」

　というわけで、「楽天の島内宏明」選　オレキャン（仮）『コメント・オブ・ザ・イヤー』のグランプリに輝いたのは……。

　ん？　島内の様子がなんか変だ。

　このコメントを選んでからも、ノミネート作品に目を落としたまま微動だにしない。

――島内選手、どうしました？

「でも、僕のなかで印象に残っているの、実はもう1個あるんですよね」

　そう漏らして発表したのが、こちらである。

　7月18日　西武戦　1回に松本航から本塁打

「打ったのはストレートです。岸さん、直人さん、そして蝶野さんこちらからは以上です」（真剣な表情で）

　選考理由＝本当にありがたい言葉をいただいたから

「個人的に『面白いから』とかじゃなくて。この時、本当に調子が悪くて、多分20打席くらいヒットを打てていなかったのかな？　そういうのが表情とか雰囲気で出していたんですかね？　自分ではよくわからないですけど、岸（孝之）さんに『大丈夫か？』って声をかけていただいたり、（渡辺）直人さんも『考えすぎんなよ』みたいにアドバイスをしてくれたり。登場曲を蝶野（正洋）さんの『CRASH』に変えたのも、少しでもおちゃらけないとやってられないくらいのメンタル状態だったんで……。ホームランを打てた後だったから、『黒川（史陽）にグッソン（グッドソング）すね！　って言ってもらえるかな？』と思っただけで。実際は岸さんと直人さんへの感謝だけでしたね」

なぜ「蝶野さん……」を選んだのか

　本人が打ち明けたように、島内はこの時、スランプに陥っていた。

　7月9日のソフトバンク戦の第5打席から21打数無安打。17日の西武戦の第3打席でようやく安打が出たが、この試合まで23打数1安打と苦しんでいたのである。

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