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プロ野球・契約更改の“珍要求” ソフトバンク1年前「シャワー改善して」→今年は「ポスト熱男どうするの?」
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byBUNGEISHUNJU
posted2020/12/25 17:03
06年にソフトバンク入りした松田宣浩37歳。来季はプロ16年目となる
今季成績は116試合、打率.228、13本塁打、46打点。昨季まで2年連続でマークしていた30発以上も、過去10年も続けたシーズン100安打以上も途絶えた。
衰えを指摘する声もあるが、今年の春先の姿からはこの不調は想像できなかった。2、3月のオープン戦では打率.333を残し、10試合で3本塁打も放っていた。
「選手にはバロメーターというのがあると思うんです。もともと3月の開幕に向けて上げていた。だけど延期になって、1回リフレッシュをしようと落ち着いてしまった。そのまま上げ切れない中で6月の開幕を迎えてしまい最初の3カードくらい全く打てなかった。なんとか取り返そうとしても、上手くいかずにその後は負の連鎖。バロメーターのずれ。そこに尽きると思います」
来季はプロ16年目。5月には38歳になるが、また新たな目標を見据えてチャレンジを続けていく。
「今年は本当に苦しかったけど、一生懸命野球をする。個人的には最多安打を獲れるくらいヒットを打ちたい。僕はヒットの延長がホームランだと思っている。その中で300本塁打目前まで来た(現在287本塁打)。最多安打を獲るくらいの活躍ができれば、打率もホームランも増えていく。そういう技術を身につける準備をしたい」
声を出さなくなった時がベテランの落ち目の第一歩。松田はそう考えている。大人になりすぎて、少年野球の時の気持ちを忘れちゃダメなのだ。
「まだ体が痛いところもない。骨も心も折れてないですから!」
松田宣浩を見限るのはまだ早い。