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セナ最期の地でハミルトンが噛み締めた特別な勝利 思い出すヒーローへの憧れと初めて見た父の涙
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph byGetty Images
posted2020/11/08 17:01
ハミルトンは史上最多勝記録を93に上積みする今季9勝目。特別な地でのレースにセナを思った
セナに捧ぐ、ハミルトンの思い
あれから26年。エミリア・ロマーニャGPのハミルトンは、厳しい戦いを強いられていた。予選でポールポジションを逃したハミルトンは、スタートでマックス・フェルスタッペン(レッドブル)にも先行され3番手に後退。しかしここからがハミルトンの真骨頂だった。先行する2台と異なるピットストップ戦略を採り、かつ見事なタイヤマネージメントを遂行したハミルトンは流れも味方につけて逆転勝利を飾った。
初めてイモラでF1の表彰台に立ったハミルトンは、その頂点で最も大きなトロフィーを受け取った。トロフィーにはセナとラッツェンバーガーの命を奪った2つの高速コーナーを改修し、新しいレイアウトになったイモラのレイアウトがデザインされていた。
セナが命を落としたタンブレロには、0.14カラットのダイヤモンドが埋め込まれ、台座には「Dedicato ad Ayrton(アイルトンに捧ぐ)」というメッセージが刻まれていた。
「94年にアイルトンが亡くなったことは今でも忘れない。その26年後に僕はここに来て、彼が愛したレースを戦った。そして彼が何度も困難に打ち勝ってきたように、僕も今日、勝利することができた。だからこのトロフィーは僕にとって、今まで感じたことがないくらい重みのある大切な宝物となるだろう」