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【巨人連覇・強さの根源】増田大輝の投手起用は確信犯 原辰徳監督「いつも最初は笑われる」
posted2020/11/01 08:01
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
KYODO
10月30日にセ・リーグ連覇を果たした読売ジャイアンツ。選手、指導陣ともに噛み合った戦いぶりが印象的だった。その象徴的なシーンや指導法を扱ったコラムを再配信する。(初公開:2020年8月7日)
物議を醸す一手だった。
8月6日に甲子園球場で行われた阪神対巨人戦。
8回に巨人の5番手・堀岡隼人投手が中谷将大外野手の満塁弾を浴びてこの回計7失点、11点差となると巨人・原辰徳監督が野手の増田大輝内野手を投手としてマウンドに上げたのである。
騒然とする甲子園球場。
その中で増田は近本光司外野手を二ゴロ、江越大賀外野手に四球を与えたが、続く大山悠輔内野手を右飛に打ち取り、何とかこの回を終了させた。
「(登板の可能性を)言われたのは中谷さんの前の打席のとき。いつか、どこかでそういうのが絶対に出てくるから、一応、頭に入れておいてって、去年から後藤(孝志)コーチとかからは言われていたので。
点差が広がったときとかに、投手を助けられるんだったらっていつでも頭に入れていました」
「甲子園で投げられたことが凄く嬉しいですね」
試合後にこう語った増田の投手経験は徳島・小松島高校時代まで遡る。それでも“自己最速”を2km更新する138kmの真直ぐにスライダーを交えて、見事に任務を完遂。
「すごくいい経験をさせてもらった。甲子園で投げられたことが凄く嬉しいですね」
こう満足そうに振り返った。
「最善策ですよ。1つの作戦だからね。あそこで(満塁弾を浴びた)堀岡を投げさせる(続投させる)ことの方がはるかに失礼なこと」
こう語るのは原監督だ。