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ドラフトの各球団卓上には獲得候補と、戦力外候補…残酷な2つのリスト「1人獲れたら1人クビに」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2020/10/27 17:04
若者たちが心を躍らせて指名の声を待つドラフト会議(写真は2017年のもの)。その裏側では残酷な“選別”も実施されている。
「自分も戦力外になっているから嫌なもんです」
笑いをまぶして語ってくれたから、余計に残酷な現実があぶり出される。
「自分らスカウトも、一度は戦力外通告にあってる者がほとんどなわけですから、そりゃあ嫌なもんですよ、自分の時のこと思い出してね。でも、それがプロ野球の現実ですから、しょうがない。戦力外になった選手たちだって、何年か前には、ああして晴れやかな瞬間があったわけでしょ……」
別の球団のスカウトの方は、こんな話で「今のドラフト」を表現してくれた。
「以前は高校生なら最低でも3年、ほとんどの球団が4年から5年は様子を見てくれたんですが、今は2年で戦力外になる場合もありますよね。見込みがなかったら、早い時期に一般社会に戻してあげたほうが再出発もしやすいだろう……っていう、ある意味“親ごころ”なんでしょうけど、ハタチちょっとの中途半端な年齢で就職するのは、なかなか厳しいのが現実です。
入団の時に担当したスカウトが、第二の人生の手助けをしなきゃならない場合もあるんですよ。これは、われわれにとっても、なかなか厳しい。自分たちだって、そんなに“パイプ”持ってるわけじゃないですからね」
戦力外になっても、そこまで手を差し伸べない
2017年のドラフトでは、支配下ドラフトで82名、育成ドラフトで32名の選手たちが指名された。
「今年の支配下、大学・社会人、多かったでしょ。大卒や社会経験持ってる選手に対しては、戦力外になっても、そこまで手を差し伸べることもないですからね。そのへんが数字に表れたともいえるんじゃないですかね」
今年の支配下ドラフトでの指名数は、高校生30名、大学・社会人52名。
例年に比べて、高校生に候補が少ないという前評判だったが、それにしても“大・社”の人数が2倍近くにものぼった。