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<箱根駅伝予選会のヒーロー> “名門”中央大復活へ、「スーパー1年生」吉居大和は最後の切り札か
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKYODO
posted2020/10/20 17:02
箱根駅伝予選会(10月17日)で好タイムを記録した中大の“スーパー1年生”吉居大和
「吉居は予選会を走らないのではないか?」
予選会の走りを見て、藤原監督は往路の主要区間でも吉居は十分に上位争いを展開できると自信を持ったのではないか。
予選会、最大の収穫であろう。
実のところ、夏の終わりの取材では、「吉居は予選会を走らないのではないか?」という推測を私はしていた。
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当の吉居が、12月4日に行われる日本選手権の5000mに照準を合わせていることもあり、予選会をスキップする――と予想していた。予選会に関しては、今年は戦力が充実し、吉居がいなくとも十分に通過できると思われたからだ。
しかし、藤原監督は9月から1月の箱根駅伝までのレースプランをトータルでデザインしているようだった。
「吉居は9月13日に日本インカレを走った後、21日の平成国際大学の競技会で、疲労が抜けきらない中で10000mを走りました。予選会を含め、疲労を抜きながらレースに合わせることをやってきましたので、12月の日本選手権は全力で臨んで、疲労を抜きながら箱根駅伝本戦もしっかり走れるように強化を進めていきたいと思います」
12月から1月にかけての予行演習を兼ねつつ、吉居は予選会の結果を出した。
「ゲームチェンジャー」吉居は中大をどう変える?
中大が不振を続けていた理由は、絶対的なエースの不在があった。吉居はこの長年の課題をクリアする「ゲームチェンジャー」になり得る。いや、なるだろう。
吉居の存在は、当然上級生の姿勢にも影響を与える。