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恩師である武井壮の言葉を胸に 陸上十種競技・右代啓祐はこれからも変化を恐れず、前へ
posted2020/10/14 11:00
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph by
Shigeki Yamamoto
勝者は「キング・オブ・アスリート」と讃えられる陸上十種競技で、日本の絶対的存在と言えるのが日本記録保持者の右代啓祐だ。
日本選手権で8回優勝、オリンピックに2回出場の経験を持ち、34歳となった今でも「伸びしろしかない」と語る。ベテランながら変化を恐れず、前へと進む。その姿勢の根底にあるのは、恩師・武井壮からの教えだった。
初めて日本記録を更新したのが2011年。その2年ぐらい前から、陸上十種競技の元日本チャンピオンで、まだテレビに出ていなかった頃の武井壮さんに練習を見てもらっていました。
その時に武井さんに「今日1日、自分史上、最高の1日を」という言葉をいただいたんです。
「1日30分でも、15分でもいいから、毎日学び続けて、自分にプラスを作れ。昨日の自分を今日の自分が超えている。そのくせ付けができるかできないかで、1年経ったら、大きく変わるんだぞ」。そう言われたんです。
武井さん自身「俺、いつかビッグになるからな」って言って、学び続けて、今ではテレビで見ない日はないぐらい有名になって、夢を叶えた人。そんな人からいただいた、ものすごくいい言葉なので、どんな辛い時も、苦しい時も、この言葉を胸に刻み続けて、1日1日を大切に過ごすことを今も心がけています。
今では学び、変化し続けることは本当に大事だと実感しています。もし自分が何も変化しなかったらどうなるんだろうって考えると、ちょっと恐ろしいと思いませんか?
何も変化しないというのはゼロですよね
時間が経つということは、体も変化するし、見た目も変わるし、世の中の流れも変わる。その中でもし自分自身が変わらなかったら、置いていかれてしまう。自然の流れに合わせて、自分も変化し続けないと、健やかに生きていけないと思います。
何も変化しないというのはゼロですよね。一方で変化しようとすると、プラスに働くこともあれば、マイナスに働いて失敗することもある。
もちろん、プラスに働いたら、自分のやっていることは正しかったんだと肯定できます。だけど、マイナスに働いても、その失敗をゼロに戻したり、プラスにするために、自分はどう変化すべきか考えることができる。ギャンブル的な部分もあるかもしれないけれど、ダメだった時はその理由をたくさん考えて、いろいろな人と関わったりしながら、答えを見つけていく。その繰り返しが自分を成長させてくれるんじゃないかと思うのです。