プロ野球PRESSBACK NUMBER
決勝ソロを浴びたけど……藪恵壹が力説「藤浪晋太郎のリリーフ登板に大賛成」の理由
posted2020/10/01 15:05
text by
藪恵壹Keiichi Yabu
photograph by
Kyodo News
先月25日、ショッキングなニュースが飛び込んできました。阪神で新型コロナウイルスの集団感染が発生。主力選手を含め、一軍・二軍で計19人の入れ替えが行なわれる事態となってしまいました。
開幕前の時期に比べれば世の中も経済を回すことを考えた動きにはなってきていますが、他球団は感染者が出ていても数人の規模。感染した選手らは大人数で会食をしていたようですから、運、不運の問題ではなく、チーム全体が緩んでいたということです。
ただでさえ3カ月遅れの開幕で、タイガースにとっては13連戦を控えたタイミングでもありました。離脱者が出れば戦力ダウンはもちろん、試合ができなくなっていたかもしれないわけですが、そういった自覚は選手たちにあったのでしょうか。とても残念です。
7年ぶりの「中継ぎ・藤浪晋太郎」は……?
ただ、こうなってしまった以上、残された人間でなんとか戦っていくしかありません。この頃の試合を見ていると、プラスに考えられるところもありますね。ショートで結果が残せず二軍落ちしていた北條史也は、緊急昇格してからセカンドに回り好守を見せています。26日のヤクルト戦や29日の中日戦では得点も演出しており、しっかりとチャンスを生かしている印象です。
特筆すべきは藤浪晋太郎でしょう。昇格後の初試合となったヤクルト戦、1-1の同点で迎えた5回に、新人の2013年以来7年ぶりのリリーフ登板を果たしました。6回先頭打者の村上宗隆に決勝ソロを浴びて敗戦投手になってしまいましたが、あの152kmの高め・真っすぐを打たれたら打った方を褒めるしかないですね。27日、29日の登板では勝っている展開で1イニングをきっちりと抑えていましたから、十分評価に値すると思います。
矢野監督もしばらくリリーフ登板を続けると明言しているようですが、大賛成です。むしろ私は前々から「藤浪を中継ぎで起用せよ」と主張してきました。先発した試合を見ても、1イニングならしっかり投げられているわけですから、やらせてもいないリリーフをダメだと決めつけて二軍に落とすのはずっと疑問だったんです。二軍でいくら好投しても、既に一軍で実績のある選手が自信を取り戻すことはできません。だからこそ、一軍で再生させるための手立てを打つべきだと考えていました。結果的に今回、リリーフの枚数が足りなくなって動いたわけですが、もっと早くにやるべきだったと思っています。