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大坂なおみが語っていた国籍選択への思い「当たり前過ぎて、なんで?という気持ち」
posted2020/09/22 08:00
text by
長澤壮太郎Sotaro Nagasawa
photograph by
Takuya Sugiyama
四大大会本戦初出場ながら、強力なサーブを武器にセンターコートにまで進む大躍進。世界中にNaomiの名前を轟かせた。日米にルーツを持つ、18歳の素顔とは――。
1月に行われたテニス全豪オープン。プロ転向後4年目、18歳の大坂なおみが、本選の3回戦まで勝ち上がり注目を集めた。
2年前、弱冠16歳にして2011年全米覇者のストーサーを破った経験もある彼女は、全豪2回戦で18シードのスビトリーナにストレート勝利。3回戦で全豪優勝2回のアザレンカに完敗したが、180cmの長身から繰り出す高速サーブ、破壊力抜群のフォアハンドとともに「大坂なおみ」の名を世界に大きくアピールすることとなった。
「快挙のように言われているけど、自分としては、そこまで行けると思っていたので。嬉しかったことは確かですが、ラケットを投げ飛ばして大騒ぎするほどの気持ちでもありませんでした」
「あの試合も楽しむ気持ちで臨みましたが」
コート上での追力のある姿とは対照的に、シャイで遠慮がちに話し出した彼女だったが、大金星となったスビトリーナ戦について触れると、ようやく顔がほころんだ。
「楽しかった! 実は1度対戦して負けている相手だったんです。同じ相手に2度負けるのは絶対に嫌だったので、気合いは入っていました。でもそれが強すぎてはいけないと思い、楽しむ気持ちで臨んだんです」
腹部の故障をかかえながら、ストレートでの勝利だった。続く3回戦の相手は、世界ランク1位になったこともあるアザレンカ。開始直後の第1ゲームを鮮やかにブレイクし、さらなる番狂わせを予感させたが、元全豪王者は負傷しながら勝てる相手ではなかった。1-6、1-6での完敗だった。
「あの試合も楽しむ気持ちで臨みましたが、持っている実力を発揮できなくてストレスが多かった。せめて競り合いに持ちこめていれば……あんなに大差で負けるつもりじゃなかった。がっかりさせてごめんなさい」
彼女は大きな身体を縮めてうつむきながら小声で言った。怪我の影響は大きかったのではないか。
「正直言うと、あの怪我は全豪の直前に参加した大会で負ったものです。腹部の筋肉を痛めましたが、全豪予選があるためにすぐ移動する必要がありました。本来ならば、予選で負けてもおかしくない状態でした」
怪我を抱えながらの快進撃だったのだ。
「なんで勝ち上がれたのか、わかりません。でも、今の自分は大会ごとに強くなっている気がします」
才能が開花している自覚はあるようだ。3回戦進出にオーバーリアクションを起こさないのも、それを感じているからだろう。