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日韓W杯イタリアvs.韓国の内幕。ヒディンク参謀、勝因と“あのレッド判定”を激白。
posted2020/09/07 11:40
text by
フローラン・ダバディFlorent Dabadie
photograph by
Getty Images
私は日韓W杯、韓国代表の戦いのこともよく覚えています。
私たちが泊まっていた仙台のホテルで、トルコ戦から帰ってきて簡単に食事を済ませた後、トルシエ監督の部屋でモロッコ人のアシスタント・コーチと一緒に3人で見ました。
真っ赤に染められたスタジアムの観客席、噴火しそうだったソウルの街中、飲み込まれそうなイタリア人選手の試合前の表情、黒澤明監督の名作『乱』のようでしたね。そう、イタリアを立派なお城に喩えるなら、韓国軍による包囲は圧巻でした。
その試合の内幕を知りたくて、当時の韓国代表でフース・ヒディンク監督のPA(パーソナル・アシスタント)を務めていた、オランダ人ジャーナリストのヤン・ロルフ氏に連絡をしました。
ヤンさんとは2002年以来、2010年と2015年と2回ほど欧州で会ったことがありました。彼は現在ジャーナリストの本業に戻り、時々日韓大会の快進撃を中心にオランダで講演会をするそうです。W杯のベスト4を経験するなんて、彼にとっても人生最大の達成だったのかもしれません。
ポルトガル戦でのパク・チソン。
――ヤン、お久しぶりです。取材を受けてくれてありがとう。ヒディンク監督はあなたに絶対的な信頼を寄せていただけに、ぜひ当時の話を聞きたかったんです。
ヤン・ロルフ(以下YR):「ガス(ヒディンク)は捕まりにくいからね(笑)。でも全部覚えていますよ、日韓大会の思い出は一生消えないだろうね」
――決勝トーナメントの初戦、イタリア戦に集中して聞きたいのですが、昼に日本が負けたという情報が入って、夜に戦うあなたたちのモチベーションはより高まったのでしょうか。
YR:「それはないですね。一番のプレッシャーは日本との比較ではなく、単純にグループリーグで敗退することでした。第3戦のポルトガル戦はとても高いレベルの試合ができました。とりわけパク・チソンは大活躍しましたね。突破を決めた試合後にお祝いの記者会見が2時間も続いたことをよく覚えています。
ルイス・フィーゴ、ペドロ・パウレタ、フェルナンド・コウトというスター軍団に1-0で勝つなんて! それがイタリア戦に向けて最高の準備となりました。監督と私は長い会見をこなしましたが、選手たちはミックスゾーンに長く止まらず、すぐ決勝トーナメント・モードに入っていました」